ミイラになっても生き続けた母親

高齢者の死一つをとりあげただけでも、さまざまな親子関係のかたちが見えてくる。同居の親が家族のいざこざを苦にして自殺しても、「病気を苦にしていた」という息子がいるかと思えば、母親の死をいつまでも認めない息子だっている。

あるケースで、警察官と民生委員が家の中に入ったとき、母親の死体はすでにミイラ化していた。居間のじゅうたんの上にきれいに寝かされていたそうだ。体にはきれいな布がかけられ、すぐそばのテーブルには食事が置いてあったという。