金利が1.5%上昇すると、総支払い額は…

【前提条件】借入残高4000万円、返済期間35年、現在の適用利率0.4%(変動)、元利均等型、ボーナス返済なし、2025年4月から適用利率が以下の通り上昇し、5年ルール適用

【図表2】金利別の返済額シミュレーション

現状の金利のままだと、月の返済額は10万2000円、総支払額は4287万円ですが、0.5%上昇するとそれぞれ11万3000円と4673万円、1.0%上昇すると12万4000円と5092万円と負担は増え、1.5%上昇した場合は2万6000円増の12万8000円、約1300万円増の5660~5670万円にまで膨れ上がります。

日銀は、経済・金融情勢の先行きや、物価上昇・賃上げの動きなどを総合的に判断し、政策金利を決定しています。また、私たちの生活に急激な変化が起こらないよう配慮しています。ただ、「少しずつ上がるだろう」とのんびり構えていると、思わぬ負担増に直面するかもしれません。

人は未来のリスクを過小評価するものです。「これまで大丈夫だったから、これからも大丈夫だろう」といった正常バイアスや、「変えるのが面倒だから、今のままでいいや」という現状維持バイアスがかかるためです。

現在、すでに住宅ローンの支払いがギリギリの方は要注意です。まずは、今のうちにシミュレーションし、どのくらい返済額が増える可能性があるのか、しっかり把握しておきましょう。

「借り換え」を判断する3つのポイント

それでは、5年後に損をしないための具体策を3つ考えていきましょう。

① 固定金利への借り換え

「変動金利はリスクがあるので、固定金利にしようかな」と思う人も多いでしょう。固定金利は、将来の返済額を見える化できる安心感があります。しかし、固定金利は変動金利より1~2%ほど高めに設定されており、借り換えには30万~100万円程度の費用が発生します。

一般的な借り換え判断のポイント
・借り換え前後の金利差が年1%以上
・住宅ローンの残高が1000万円以上
・残りの返済期間が10年以上

この条件をベースに単純計算すると、将来、金利が2〜3%くらい上がるだろうと思うなら、変動金利から固定金利への借り換えを検討してもよいかもしれません。

将来どのくらい金利が上がるのかは、誰にも分かりません。金利の上昇幅をウォッチしながら、慎重に借り換えを検討する方が賢明でしょう。