親の何気ないひとことが成績を左右する
子どもに対する類似の調査も行われています。幼稚園から小学校2年生の女児と母親を対象にしたイタリアの実験では、「母親が男児の方が算数は得意と思っているほど、女児の算数の成績が低下する」という関係が見られました(※2)。
※2 Carlo Tomasetto, et al. Girls' math performance under stereotype threat: The moderating role of mothers' gender stereotypes. Developmental Psychology, 47(4), 2011, 943–949
例えば普段何気なく、「お母さんも算数が苦手だったのよ」「男の子は数学が得意だから」といったことを話していると、それが子どもの算数や数学の成績に、実際に影響してしまうということがわかっているのです。
これと同じことが、早生まれで起きているのではないか、というのが私の仮説です。
女子大学生の数学のテストでは、「ステレオタイプの脅威」を取り除けば、成績が向上することがわかりました。ですから早生まれに対しても「ステレオタイプの脅威」を取り除くことができれば、可塑性によって積み増された能力を発揮することができるのではないでしょうか。
ステレオタイプは変えることができる
早生まれの現状は、次のような状況にあります。
つまり可塑性のプラスが、ステレオタイプの脅威のマイナスに負けているということです。結果として早生まれの方が、成績においても、非認知能力においても、遅生まれに負けているとしたら、もったいないことです。
ここで大事なのは、「早生まれは不利」という、何となく皆が持っているステレオタイプを変えることです。
ステレオタイプというのは、なかなか変えられないと思うかもしれません。
でも、そんなことはありません。例えば日本のジェンダーギャップも、足元においてはずいぶんと変化してきました。
ジェンダーギャップ指数(※3)自体は、「政治参画」「経済参画」「教育」「健康」のうち、「政治参画」「経済参画」が足を引っ張っているために、146カ国中118位と下位に低迷しています。ただ、「教育」「健康」では世界トップクラスで、ほぼ平等を達成しているのです。
※3 ジェンダーギャップ指数:世界経済フォーラムが「男性に対する女性の割合(女性の数値/男性の数値)を発表したもの。ランキングで発表している。


