脳は徹底的に「コスパ重視」

ここで少し、脳の基本戦略、特に「成長戦略」についてお話をしておきましょう。

脳は、「まず、周囲の環境を受け入れ、次にほとんど使わないものを少しずつ切り捨てていく」という方針を持っています。

若い脳は特に、あらゆる環境に対応できるような柔軟な状態になっています。何においても、小さな子がすぐに覚えてしまうのは、そのためです。しかし、その後、使われなくなったネットワークは少しずつ切り捨てていくと考えられています。なぜなら、そのようなネットワークを脳に持っていても、多くの場合エネルギーの無駄だからです。

脳はコスパ重視なのです。

脳と情報のイメージ
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脳は効率重視。周りに存在しない音は、聞こえなくなる言語を例にとって、この性質を説明するとわかりやすいと思います。8カ月くらいまでの赤ちゃんは、どんな言語のどんな発音や抑揚も、完璧に聞き取ることができると考えられています。

しかしそれ以降、周囲から聞こえてこない音は、少しずつ聞き取りにくくなると考えられます。例えば、日本人の「L」と「R」を聞き取るための音感も、磨かれずに落ちていくと考えられます。なぜなら、日本語を母語として育つ場合、「L」と「R」を聞き分ける能力をほとんど使わないからです。

11カ月の差で同じことを学ぶすごさ

脳の限られたリソースを、使わないものに当てるのは無駄。コスパが悪いのです。

このような、「周囲の環境を受け入れ、次にほとんど使わないものを少しずつ切り捨てていく」という脳の成長は、脳の部位によって違いはありますが、脳が発達する限り続いていきます。

早生まれの子というは、あらゆる物事を、遅生まれの子より、脳が若いうちに取り込むことになります。つまり、「周囲の環境を受け入れる」という戦略がはまる確率が高い、ということがいえるかもしれません。いつでも少し若い脳で、つまり受け入れやすい脳で、物事に取り組むことになるからです。

実際に、その年の4月の子と3月の子が、同じことを学んでいるというのは、すごいことです。早生まれの子は、実は1年先を行っているのです。