「自分の資産の中に家族を間借りさせている」という認識に
また、タワマンの魅力として、売却益が見込めることによるコスパの良さを挙げる人もいます。しかしその一方で、A子さんの夫のように、物件の資産価値ばかりにとらわれて、家族に異常な負担を強いるというケースも実際にあるのです。
「家の値段が下がるから絶対に汚してはいけない」と言って家族を責めるというタイプのモラハラは、実は少なくありません。賃貸の場合も、「原状回復の費用がかかるから」と言って汚すことを極端に嫌う人がいます。
自分で気を付けるのならまだしも、家族に掃除を強制して、自分が汚すことすら家族の責任にする……。そこまでいくと、何のために家族として一緒に生活しているかわからなくなります。このタイプは、A子さんの夫のように金銭的にシビアであることも多く、ケチと潔癖思考が併発した人がタワマンを選んだことでこうなってしまったのかもしれません。
家というのは、家族で生活するための場です。A子さんの夫のような人は、コスパにとらわれるあまり、「自分の資産の中に家族を間借りさせている」という認識になっているのかしれません。
もちろん、タワーマンションで快適な生活を送っている家族もたくさんいます。
タワマンを選ぶ理由は何なのか、タワマンの周辺環境は本当に自分に合っているのか。タワマンを購入する際は、タワマンという言葉の持つ魅力的な響きにとらわれず、現実的にメリットとデメリットを考えるようにしましょう。
北海道札幌市出身、中央大学法学部卒。堀井亜生法律事務所代表。第一東京弁護士会所属。離婚問題に特に詳しく、取り扱った離婚事例は2000件超。豊富な経験と事例分析をもとに多くの案件を解決へ導いており、男女問わず全国からの依頼を受けている。また、相続問題、医療問題にも詳しい。「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)をはじめ、テレビやラジオへの出演も多数。執筆活動も精力的に行っており、著書に『ブラック彼氏』(毎日新聞出版)、『モラハラ夫と食洗機 弁護士が教える15の離婚事例と戦い方』(小学館)など。