受験のプロも困惑した「開成の算数入試の大問2」

偏差値65以上の最難関校になると、すべての問題で「その場で考える力」が求められる。つまり、小手先のテクニックだけでは太刀打ちできない問題のオンパレードとなる。首都圏の男子最難関校といえば開成中だが、今年の開成中の算数入試では番狂わせの難問が出題された。大問2の思考力を問う問題だ。縦4マス・横9マスの長方形をルールに従って分割し、その分割方法ごとにポイントを算出するという問題で、受験生はできるだけ多い区切り方を考え、そのポイントが大きいほど高得点がもらえるという構成になっている。

ここで重要なのは方向性の見極めだ。「こうしたらどうだろう?」「ああしたらどうだろう?」といくつかのパターンを試行錯誤した上で、「よし、このやり方で行こう!」と決断し、解き進めていくのだが、中学受験のプロ家庭教師である私でさえも、「本当にこのやり方でいいのだろうか?」「もっと大きな数を出す方法があるのではないか?」と最後まで迷いが生じた。答えを出した後も、自信が持てず、なんともモヤモヤ感が残る問題だった。

方向性を決めるまでに時間がかかる上、解き進めながらも半信半疑が続く。この問題に多くの時間を取られ、最後までたどりつけず涙を流した受験生は多いだろう。「開成絶対合格」と太鼓判を押されていた子たちが、ボロボロと不合格になってしまったという声を多く耳にした。

紙に書く人の手元
写真=iStock.com/IvanMikhaylov
※写真はイメージです

「どのように勉強してきたか」を見る入試内容に

では、なぜ各学校では、このような「その場で考えさせる問題」を出すのか――。

一番の理由は、「これまでの学習履歴」を見るためだ。今の時代、中学受験の勉強を進めていく上で塾は不可欠だ。しかし、毎年新しいタイプの入試問題を出題する学校と、そのような問題を解くための対策を指導する塾の「いたちごっこの関係」が長年続いている。そして、子供たちはどんなタイプの問題が出ても対応できるように、大量の勉強を強いられてきた。

その結果、早く終わらせることに気が向き、「ただ丸暗記する」「ただ公式に当てはめる」「自分で考えず、なんとなくそうかなと思いながら解く」といった間違った勉強のやり方を身に付けてしまった子を増産させた。こうした勉強を続けてしまった結果、「自分で納得して理解する」「自分の頭と手を動かしながら考える」という学びの本質が失われてしまったのだ。この状況に危機感を感じた学校は、「何を勉強したか」よりも「どのように勉強してきたか」を見る入試内容に大きく舵を切るようになった。それが近年の「その場で考えさせる問題」だ。