「このままグループの祖業が消えかねない」
セブン&アイHDは今年5月の株主総会を経て「セブン‐イレブン・コーポレーション」に社名変更する。Seven&iのiは「愛」と示すと公式的には説明されるが、誰が見てもイトーヨーカ堂の「イ」をイメージさせる。そのiが消えることに対して「このままグループの祖業が消えかねない」といった危機感は強い。
現在、イトーヨーカ堂の取締役商品本部長には、創業者・伊藤雅俊氏の孫である伊藤弘雅氏が付く。そしてヨークHDの代表取締役会長には雅俊氏の次男である伊藤順朗氏が座る。「伊藤家」の求心力で、難局を打開することを社内外にアピールする体制であることは確かだ。
「IPOを目指す目指さないといったことはともかく、イトーヨーカ堂に可能性があること、成長していく姿勢を示さないといけない」。2025年1月、ヨークHDの幹部は取引先企業が集める勉強会で話した。
ヨークHD幹部が訪ねたある大物経営者
「ぜひとも手を貸してください」。2024年の春、ファーストリテイリング本社にヨーク・ホールディングス(HD)幹部の姿があった。応接室で向き合ったのは柳井正会長兼社長。訪問目的は閉店したイトーヨーカ堂郡山店(福島県郡山市、店舗面積2万7000平方メートル)の再生のためだった。
店舗を引き継ぐグループで、“東北の雄”とスーパー業界では評されるヨークベニマルの大高耕一路社長も同席。食品以外の売り場に集客力のあるテナントを集めるノウハウのないベニマルが助けを求めたのがユニクロだった。「地域再生のモデルになるよう応援しましょう」。柳井氏は2人の要請に二つ返事で答えた。
イトーヨーカ堂郡山店の閉店は2024年5月。閉店からさほど間を置かず店を開けなければお客は逃げてしまう。ユニクロのテナント出店決定で、テナント集めのリーシングははかどり、今年3月14日に「ヨークパーク」としてリニューアルオープンが決まった。もちろんロフト、アカチャンホンポも出店し、グループの力を結集する。
24年2月期まで4年連続で最終赤字が続くイトーヨーカ堂を巡っては、親会社のセブン&アイ・ホールディングスが23年3月、26年2月末までに33店閉店し、93店とすることを発表。北海道、東北、信越地方からの撤退に追い込まれた。加えて自主アパレルからも完全撤退し、家賃削減を目的に本社を東京・四ツ谷から同・大森地区に移転した。
ファストリの柳井氏への協力要請も、後ろ向きのリストラに終止符を打ち、反転攻勢への狼煙を上げる構えの表れだ。
そして郡山のヨークパークは有力なテナントを集め、中核となるヨークベニマル西ノ内店は28日に先行オープン。地元食材を使った洋風総菜などの新しい品ぞろえで比較的若い世代にアピールし、「かなり挑戦的な店になる」(ヨークHD関係者)という。

