「#私が退職した本当の理由」タグを作った人の思い
ところで、このムーブメントを巻き起こしたタグ「#私が退職した本当の理由」を作成したのは、Xアカウント名「EtsukoKawaji」さん。いわゆるインフルエンサーではない、パート勤務の40代女性である。
きっかけは、フジテレビの社長会見を見ている中、他にも性加害が理由で辞めた人がいたのではないか、辞めた人全員の本当の理由を聞いてみたいとつぶやいたところ、あるアカウントからタグを作ることを提案された。そこでタグを作ると、数名が熱心に拡散してくれたと言う。
「フジテレビの社長会見を見ていたとき、被害者の女性が仕事を辞めた理由が、表向きは体調不良とされているのを見て、身近な例を思い出しました。過去にかかわりのあった学校で、教員が生徒にわいせつ行為をして、それが問題になり、その先生が辞めることになったときの表向きの退職理由が体調不良だったんです。
その事件のことは誰もが知っていたのに、学校の上層部は『証拠がないから』と否定し、教員たちも、わいせつ行為があったことを認めませんでした。結果、加害者の教師は体調不良を理由に懲戒免職にもならず、普通の退職として去ったんですね。そこから、会社や仕事を通して立場を利用するようなわいせつ事件は、組織に責任があると考えるようになり、同様の被害者を出さないため、性加害事件について調べ、発信するようになりました」
中学校教師などによる性加害事件に、強い疑問を抱いた
一昨年6月、4月に赴任してきたばかりの40代の中学校教諭の男性が男子生徒にわいせつ行為をし、逮捕された事件もあった。これは新聞でも報じられているが、その教諭は実は前任校でもわいせつ行為をし、市教育委員会もその情報を把握していたと言う。
「なぜ前任校でわいせつ行為をした教員を受け入れたのか、校長先生に直接聞いたんですね。すると、校長とその教員が若い頃に一緒だったことを理由に、教育長から受け入れを頼まれたというのです。教育長はいまも在任中で、私は市長に10枚ほどの文書と裏付けとなるデータを送りましたが、何の反応もありませんでした」
EtsukoKawajiさんは半年前ぐらいから性加害をなくす宣言をし、ネット上だけでなく、地域活動も行っている。今後は痴漢や盗撮防止のためのパトロールや、バッジを作って啓蒙活動を行うことも検討中という。