弔いの形が変わってきている。評論家の樋口恵子さんは「25年には団塊世代がすべて後期高齢者になる。10年、20年たてば、さらに変わっていくだろう」という。最期をどう迎えるべきなのか。樋口さんが老いの悩みに答えた『そうだ!ヒグチさんに聞いてみよう 92歳に学ぶ老いを楽しく生きるコツ』(宝島社)から一部を紹介する――。
墓
写真=iStock.com/Roger Wimmer
※写真はイメージです

最期をどうむかえるか

Q1)「海洋散骨」「樹木葬」や「墓じまい」に対して、どのような思いを抱いていらっしゃいますでしょうか?

日本は狭い国土に人口密度が高い国です。これまでのように家族ごとに石のお墓を建てる形でお墓が増えていけば、墓だらけになってしまうかもしれません。

2025年に日本で人口が突出している団塊の世代が、すべて後期高齢者になります。

2022年1月の段階で団塊の世代を含む70歳~74歳の人口は964万人。総人口に占める割合は約7.6%とかなり大きな集団です。

この方たちが、ここ10年から20年でお墓に入ると考えると、伝統的なお墓の形が続くとは到底考えられません。

葬儀もお墓も「弔う」形は変わっていくと思います。

すでに変わっているものもあります

墓石には「○○家之墓」と刻まれますが、すでに家族はバラバラです。悪い意味ではなく、かつてのように家族や親族が同じ地域に住んでいて、何かといえば集まって助け合っているという風景は、特に都会では見られないのです。

法事で親戚が集まったら、知らない人ばかりだったということも笑い話にならない時代です。

現在ではお墓のアパートのようなものも一般的になりつつあり、故人の個人としての弔いの形になっています。

遺骨はこのアパートで供養するのですが、よく見る大きな骨壺では入りません。小ぶりの骨壺に移して安置してくれます。はみ出た遺骨はお寺なりが処分することになります。

さらに、告別式後の焼き場で、お骨を拾う際に初めから小ぶりな骨壺に入れる形も増えているそうです。