「いずれは」と考えていたマイホームが、2014年の消費税増税を前に現実のタイムスケジュールとなるケースは多い。住宅の設備・機能は進化を続け、安全・安心な家はもちろんのこと、今や自宅でエネルギーを自給自足する家も登場している。日本の家はどこに進もうとしているのだろうか。日本の「家づくり」最前線を特集した。
PRESIDENT 住宅&住宅設備特集

 進化した「家づくり」最前線

最新・家づくり3つのポイント!
確かめたい地盤。活用したい評価制度。スマートハウスは、省エネ性能の向上をめざす

<2014年版>マイホーム・マネー作戦
住宅ローン控除が最大400万円に拡大

住友林業 ビッグフレーム構法
BF構法が生み出す開放感あふれる空間と、木のぬくもりを感じられる

積水ハウス Gravis Bellsa(グラヴィス・ベルサ)
木の住まいの最高の心地よさ。自然と一体になるスローリビング

大成建設ハウジング パルコンMax
強さはもちろん、空間が広く自由に使える、進化する「パルコン マックス」

ダイワハウス  スマ・エコ オリジナルII
ユーザー目線のオリジナル「HEMS」開発で、より安全で高機能なスマートハウスが実現


家づくりのスタートにあたって、今、考えるべきポイントは3つあると、住宅ジャーナリストの大森広司氏は言う。「地盤」「第三者の評価制度」それに「省エネ性能の向上」だ。ごく基本的な事柄のようだが、意外な盲点も隠されている。住宅取材歴25年の筆者が、そのポイントをアドバイスする。

このところの円安・株高で景気回復への期待が高まり、住宅市場も徐々に活況を取り戻しつつあるようだ。消費税増税に伴う駆け込み需要は住宅ローン減税の拡充によって抑制されたかたちだが、地価の下げ止まりや将来のインフレ予測に伴い、住宅価格やローン金利がいずれ反転上昇に向かうとの見通しも強まってきている。これから住宅を建てる人には気になる動きだが、そうした経済環境に一喜一憂するよりも、まずは“これから”にふさわしい快適な住まいを実現するために欠かせない視点について確認しておきたい。

どんな土地に建てるのか
地盤は自分でも調べられる

住宅ジャーナリスト
大森広司●おおもり・ひろし

1962年神奈川県生まれ。住宅ジャーナリスト。住まい研究塾(sumaken.jp)主宰。『SUUMO』『ALL About』『日経トレンディネット』などで住宅関連全般にわたって取材・執筆活動を続けている。主な著書に『はじめてのマイホーム 買うときマニュアル』『マンション購入 完全チェックリスト』(共に日本実業出版社)、『新築マンション 買うなら今だ!』(すばる舎)などがある。

まず考えてほしいのは地盤である。東日本大震災をきっかけに、住宅購入を考える人に、地盤や建物の耐震性への関心が高まっている。

最近の住宅の耐震性は高い。しかし、いくら建物自体の耐震性が高くても、地盤が軟弱であれば、長い歳月のうちに建物の重さで沈み込んだり、傾いたりすることがある。地震などの災害時には、崖が崩れたり、地盤の液状化によって家やライフラインが被害を受けるケースもある。

大切なわが家の「不同沈下」「地盤崩壊」「液状化」を避けるためにも、まず地盤調査は欠かせないということを理解しておきたい。

とはいえ、地盤は見て確認することがむずかしい。調査には専門的な知識や技術が必要だ。2000年から施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(以下、品確法)により、構造部分の10年保証が義務づけられ、新築住宅の場合は、売り主が事前に必ず地盤調査を行っている。