※本稿は、渋田隆之『中学受験で合格に導く魔法のことば77』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
「だからこその今」とプラスに捉えて
「受験は短距離走ではなく、マラソン」であるとよくたとえられますが、決してゴールのないマラソンではありません。もう少し、あと少しという段階までくることができました。いよいよ収穫の時期です。
「締め切り効果」という言葉があります。人間は時間を区切られると、やる気が高まり、集中力を発揮するという心理的メカニズムのことを言います。入試直前という緊張感が、塾でも感じられるようになったり、それまでだらしなかった友だちのようすが変わったりすることで、いつの間にか子どもの顔つきも少しずつ変わっていくことにお気づきになるかと思います。
志望校対策で、「やるべきことが明確になってきた」という状況も後押しになります。夏までは計算練習をサボっていた子どもが、「計算ミスをなくせば、あと○点は取れそうだ」ということが実感としてわかり、丁寧に筆算をするようになる、苦手な記述問題から逃げていた子どもが、「部分点でも良いから加点されると、志望校の合格最低ラインに届きそうだ」などと頑張る変化も見えてきます。
「もう少し早く夏の時期から変わってきていたら……」というお気持ちにもなるかと思いますが、「その時期に、子どもなりに頑張ってきたからこその今である」とプラスにとらえていきましょう。
受験生が「うれしかった」親からの言葉
この時期に、親から言われてうれしかった言葉で上位に入るのが「信じている」です。
自分でも頑張ってきたと自覚もある受験生には、親からのこの言葉でさらに頑張ろうと思えるようです。「信じているよ」と言われたら、その期待に応えたくなるのが人間の心情なのかもしれません。
ただし、応援する側が「どれだけ本気で信じていたか?」ということも大事なポイントです。子どもが、真剣になり始めているだけに、口先だけの言葉は、「そうやって勉強させたいんでしょ」と見透かされます。この時期の声掛けは、熱い気持ちも同時にぶつける必要があります。
子どもたちが親に言われて心に火がついた言葉をあげておきます。