メンタル疾患の予防や治療にも役立つ

⑦メンタル疾患に効果がある

感謝することで、ポジティブ感情が増えて、ストレスが減り、うつ症状、不安症状も減ることが示されています。とするならば、感謝はメンタル疾患の予防や治療に役立つのでしょうか?

樺沢紫苑・田代政貴『感謝脳』(飛鳥新社)
樺沢紫苑・田代政貴『感謝脳』(飛鳥新社)

感謝の傾向が強いほど、うつ病、不安症、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神疾患のリスクを低減し、心理的レジリエンスを高めることが示されています。

重度のPTSDが、感謝によって中等度まで改善したという報告もあります。

「感謝日記だけやれば、すぐに症状が改善する」という簡単なものではありません。しかしながら、ネガティブ感情の強いメンタル患者さんにとって、ネガティブ感情を減らしポジティブ感情を増やすことは非常に大きな意味を持ちます。また、レジリエンスを高めることは、再発予防につながります。

メンタルヘルス評価
写真=iStock.com/Wipada Wipawin
※写真はイメージです

幸福度が大きくアップする

⑧幸福度が高まる

感謝日記を書いたり、感謝の手紙を書いたりする「感謝の介入」によって、幸福度がアップすることが、数多くの研究で示されています。インドネシアの学生602人を対象にした研究では、感謝は生徒の幸福度に42.9%もプラスの影響を与えていました。

「感謝の介入」によって、ポジティブ感情が増し、生活満足度が向上する。ネガティブな感情、抑うつ症状が減少する。結果として、幸福度が大きくアップするのです。

これらの数多くの研究から、感謝が心の健康に役立つこと、メンタルに良いことは、間違いありません。

樺沢 紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医

作家。米・イリノイ大学への留学を経て樺沢心理学研究所を設立。YouTubeやメルマガで精神医学の情報を発信。著書に『学びを結果に変えるアウトプット大全』『精神科医が教える ストレスフリー超大全』『読書脳』ほか。

田代 政貴(たしろ・まさたか)
感謝の研究家