通帳や証書を紛失しても調べてもらえる
対象となる貯金がある人には、満期後10年と20年を経過する時に、届け出ている住所に、案内の手紙が郵送されます。また「満期を過ぎた郵便貯金に関する大切なお知らせ」というものも届くことになっています。
ただし、こうした郵便物は、自分が貯金通帳をつくった時点の住所・氏名になっているために、結婚して住所が変わったり名前が変わったりしていると、通知そのものが届かないというケースもあります。
そういう時には、最寄りの郵便局の貯金窓口などで相談しましょう。
また、確かに「貯金」があったと思うのだけれど、すでに通帳(郵便貯金証書)を紛失してしまっているという人もいるかもしれません。
こうした人は、郵便局の窓口や、ゆうちょ銀行の店舗などで、マイナンバーカードや運転免許証など、公的機関が発行した住所・氏名・生年月日の入っている、本人確認が可能な証明書類と印鑑を持参すれば、その人の郵便貯金があるかどうかの調査(現存調査)をしてもらえます。
対象の貯金があることがわかったなら、国に没収されてしまう前に、早めに貯金の払い出しと口座解約の手続きを取りましょう。
委任状があれば、家族でも貯金を引き出せる
親や祖父母などが「郵便貯金で積み立てていた」というような記憶があるならば、口座名義人本人の委任状があれば、お金を引き出すことができます。
ただし、名義人本人が認知症などになって委任状が書けないというケースもあるでしょう。こうした委任状がないような場合でも、郵便貯金の名義人の口座に直接入金するようにすれば払い戻しは可能なので、詳しくは郵便局で相談してみてください。
実は「自分(名義)の貯金なのに、国に取り上げられてしまうなんて理不尽だ」という苦情が多く、平成24年1月4日から、たとえば親が子の名義でつくった貯金口座があり、その事実を名義人本人が知らなかった場合などは、20年2カ月を過ぎても返金が可能になるなど、没収要件は緩和されています。心当たりがある人は諦めずに問い合わせてみることが大切です。
郵便貯金に限らず、「使っていない預金口座がある」「ほったらかしにしている」など、心当たりのある人は多いかもしれません。将来的に慌てないため、また犯罪に利用されないようにするためにも、早めに所有口座を整理することをオススメします。休眠口座に入っているお金は、少額でもなるべく早く引き出し、同時に口座自体を解約するといいでしょう。
大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。家計経済のパイオニアとして、経済の仕組みを生活に根ざして平易に解説して活躍中。著書多数。