消費税率の時限的な引き下げを
もう1つは、消費税です。消費税については、時限的な引き下げを選択肢にできる良い機会です。10月末の衆議院選挙では、自民党の石破総裁の言葉どおり、見事に国民の審判が下りましたから。政治とカネの問題への強い「No!」です。
消費税が10%に達すると、消費者の心理的負担は大きくなります。過去の消費増税前の駆け込み需要を見ても、国民に増税が受け入れられていないのは言うまでもありません。
しかも、国内ではインフレ率が目標値の2%に達していない状況が長らく続いていますが、コロナ禍やウクライナ情勢の影響で近年は生活必需品の価格が上昇し、消費者の負担は増すばかりで出口が見えません。こうした中での消費税率の引き下げは、実質的な購買力を増加させる効果が考えられます。
補助金を出すなら農業しかない
たとえば日銀の推計によると、消費税が1%引き上げられると、消費者物価指数(CPI)が約0.8%上昇するとされています。逆に言えば、消費税を5%に引き下げれば、CPIを低下させる効果が期待できるかもしれず、価格上昇が顕著な生活必需品への購買ハードルを下げると考えられます。
要するに消費税の時限的引き下げは、可処分所得の増加だけでなく、低所得層の生活負担の軽減、そして経済成長率の押し上げといった複合的な効果をもたらしてくれるということです。特に、国内消費の喚起による市場活性化が期待でき、経済の動きに直接的に影響するでしょう。富裕層への恩恵が大きすぎるという指摘もありますが、家計に占める生活必需品の割合は、低所得層のほうが高いことには変わりありません。
最後にもう1つ。今日も畑の土を耕しながら、農業への補助金と、その出し方を変えることが、私たち消費者の懐を暖かくすると痛感しています。
冒頭で、政府は補助金のために増税している、補助金で物価高に蓋をしていると指摘しましたが、身の回りの生活必需品の物価高騰を抑えるならば、農業への補助金のあり方を変えるのは必須です。