仕事が遅いのは「間違えたくないから」
出版点数1100冊以上のベストセラー作家・中谷彰宏さんは、「間違えたくないから」という考え方が仕事を遅くしていると述べています。
「遅くなる人の理由は、『間違えたくないから』です。(略)一流の人は『間違えたら直せばいい。でも、遅くなったものは取り返せない。遅くなって間違えたら直しようがない』と考えるのです。 『間違えた』というのはまったく悪くありません。遅れるほうが罪は重いです」(『一流の時間の使い方』/リベラル社)
完全主義をやめるために大切なのは、100点を取ることではなく、「決められた時間や条件の中で、合格点を取ること」です。
「カンペキ主義になってしまうと最初の一歩がなかなか踏み出せなくなります。カンペキは追求し出すとキリがありませんし、特にメールなど相手があるものは、正解などないに等しいので、できる範囲でベターな選択をするべきでしょう」(佐々木正悟『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』/KADOKAWA)
「作家である私は、一冊の本に時間をかけようと思えば、いくらだってかけられる。(略)しかし、いつまで経っても出版されない本より、不完全でも出版された本のほうが、世間にとっては価値があるのだ」(ケビン・クルーズ『1440分の使い方』/パンローリング)
目指すべきは80点
完璧主義者にならないためには、100点を目指さないこと。「80点でOK」と、合格ラインを低めに設定します。
仕事や計画に完璧はありません。自分では理想通りの結果が出せたと思っていても、それが相手の理想と一致するとは限りません。
だとすれば、「時間ギリギリまで粘って自分の100点を目指す」ことよりも、「80点でいいので、できるだけ早く終わらせる(前倒しして提出する)」ことが大切です。
社会派ブロガーのちきりんさんは、「学習曲線」という概念を用いながら、「頑張れば頑張るほど結果はよくなる」という考え方は合理性を欠いていると指摘します。
「この曲線が示しているのは、ゼロから8割のデキまでは2割くらいの時間で到達できるけれど、残りの2割を仕上げて完璧を目指すには、今までの4倍(8割分)もの時間がさらに必要になるということです」(『自分の時間を取り戻そう』/ダイヤモンド社)
ちきりんさんが「学習曲線のイメージ」として紹介しているのは、図表1のようなグラフです。
「70点で合格の資格試験」を受けるのであれば、100点を狙う必要はありません。試験を受ける目的は「合格」することであって、100点を取ることではないからです。
100点で合格しても70点で合格しても、同じ合格です。100点を取ったからといって、70点で合格した人よりも評価が高くなることはありません。100点にこだわって、膨大な時間を勉強に費やす必要はないわけです。