モノよりも情報を伝える側になりたい

シンガポールでは6年ほど過ごして日本に帰国した。

「シンガポールは情報統制がされているのか、ネガティブなニュースはあまり流れないんです。でも帰国すると、熊本地震や子どもの虐待など、悲惨なニュースがどんどん流れてきて、悲しくなりました。これをなんとかしたい、モノではなく、その大変な状況に貢献できたらと思い始めたのです」

そんな時にFacebook Japan(現Meta)からヘッドハンティングをされた。しかも広報の責任者という好待遇。

老舗グローバル企業のP&Gよりも、Facebookはすべてがより自由でスピーディー。目的を決めて結果さえ出せば、仕事のプロセスは自分自身で決めればいい。

「例えば、開発中のInstagramの機能をあと1週間でリリースすると通達されたことがありました。しかも短期間でリリースが無理ならば、開発途中のベータ版でGOとなったんです。7〜8割の出来で発表して、修正をかけながらそのうち完成に持っていけばいい、本当にダメなものならやめればいいという考えです。すべてが刺激的でした」

下村さん
撮影=プレジデントウーマン編集部
PCに貼られた「#スピード狂」のステッカーが目を引く。企業バリューである“即断即決”は、下村さん自身も常に心がけている。

そして在籍時、もっとも力を入れたのがFacebookやInstagramを使った地方活性プロジェクトだ。地方自治体と連携して地方から全世界への情報発信をサポートしたのだが、地方には素晴らしいブランドがたくさんあることがわかった。プロジェクトはやりきった感があったので、次は反対にブランドをつくる側になりたいと願った。