戸建住宅は経過年数による価格低下率が小さい

参考までに、東日本不動産流通機構のデータから中古戸建住宅の築年数帯別の成約価格の変化を図表4にまとめておいた。戸建住宅はマンションに比べて築年数による価格低下カーブがゆるやかで、東京都区部では、「~築5年」より「~築25年」のほうが高かったりする。

これは、当時の分譲戸建住宅の敷地面積、建物面積がいまより広く、かつ都心に近い立地での分譲が多かったため、中古市場の取引価格が高くなっているといった違いがある。しかも、「~築5年」と「築30年~」の格差は1.5倍となっていて、経過年数による価格低下率はそんなに大きくない。戸建住宅は土地がついているため、築年数が長くなっても、土地値で歩留りがかかるといった面があるためだろう。

築年数の長いマンションを売却して、新居に移るときには、経過年数による価格低下がゆるやかな戸建住宅を選択するという手もあるかもしれない。エリアによって、マンションより戸建住宅のほうが安いエリアもあるので、考えてみてはどうだろうか。

【図表】首都圏中古戸建住宅の築年数帯別の成約価格の平均(単位:万円)
山下 和之(やました・かずゆき)
住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に新聞・雑誌・単行本の取材、執筆、講演、セミナー講師など幅広く活動。著書に『2017-2018年度版 住宅ローン相談ハンドブック』『よくわかる不動産業界』など。