必要な冷房能力をギリギリ超えている機種でいい
「ASST」では、例えば、東京都の2011年以降に建てられた住居で窓は複層ガラス、最上階ではない8畳の部屋、暖房はほとんど使わない……と入力していくと、普及機なら冷房能力定格値5.6kwの機種を勧められます。
しかし、コストのかからない順番にすると、2.2kwがベストと出るので、それをギリギリ超えるスペックのものを購入すると良いと思います。つまり、この場合は8畳でも6畳用(定格値2.2kw)でいいということになります。
また、意外と知られていませんが、手軽にできる冷房費用の節約方法としては、風量を「自動」にせず、「強」にして固定するということがあります。
エアコンから出てくる風が風量を強に固定し、自分が「暑くない」と思える温度に設定する。例えば同じ27度設定にしても、風量を強くした方が、電気代は目に見えて下がります。
意外に知られていない「風量を強」で固定するという方法
エアコンはコンプレッサー(空気圧縮機)をどのくらいのパワーで動かすか、ファンをどれくらいの力で動かすかという2つのことを制御しているので、風量が「自動」になっていると、コンプレッサーだけではなく同時にファンも能力を上下させているわけです。
しかし、風量(ファン)を「強」で固定すると、コンプレッサーの能力は下げます。
冷房能力は「風量×温度差」で決まるので、風量で稼いでもいいし、温度差で稼いでもいい。そう考えると、風量を「強」にしても、ファンが回って風を送り出すときの消費電力は扇風機と同じで、せいぜい30W程度。
ところがコンプレッサーはそれなりに大きいものを回すと、最大で2000Wほど電力を消費します。だから、風で稼いだ方が省エネになるというわけです。
このようにエアコンを使いこなすには、メーカーのスペック表示や自動運転モードをうのみにしないこと。その仕組みを知って使い方を工夫すると、家計を節約することができます。
設計活動のほか、住宅専門紙への連載や「断熱」「省エネ」に関する講演など、多岐にわたって活躍。著書に『お金と健康で失敗しない間取りと住まい方の科学』(新建新聞社)など。