自分で申請しなくてはもらえない

「特別支給の老齢厚生年金」で忘れてはいけないのは、自分で申請しなくてはもらえないということです。

受給開始年齢に到達する3カ月前に、基礎年金番号、氏名、生年月日、性別、住所、年金加入記録を印字した「年金請求書(事前送付用)」と年金の請求手続きの案内が年金機構から本人あてに届くので、これを見過ごさないように!

また、請求書と案内が届いたからといって、受給権発生日(誕生日の前日)前に申請しても受け付けてもらえないので注意が必要です。案内が届いたら、申請に必要な公的証明書などを準備しながら(提出書類は発行から6カ月以内のもの)、受給開始年齢に達したらすぐに申請するといいでしょう。

支給される金額については、会社などで働いていた時期や、その時にどれだけ保険料を支払っていたかによって変わってきます。

たとえば、前述の女性のケース(昭和36年4月2日生まれ)で、専業主婦になる前に3年間、年収300万円で会社で働いた経験があるなら、月5000円を3年間、計18万円もらえるので、申請し忘れてはもったいない。もらえるものは何でももらっておきましょう。

契約
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詳しくは、手元に送られてくる「ねんきん定期便」で確認してください。特に過去に会社勤めの経験があり60歳に近くなった女性は、「ねんきん定期便」の「特別支給の老齢厚生年金」の欄をしっかり確認しておくこと。

最近は、65歳前に年金をもらう「繰上げ支給」を選択する人もいます。この場合は、「報酬比例部分」の年金がもらえる人は、時期によって減額率が通常より少なくなります。ただし、65歳前に繰り上げることはできても、65歳後に繰り下げることはできません。

自分のケースで詳しく知りたい人は、最寄りの社会保険事務所で聞いてみましょう。

年金は「申請してもらう」が基本です。もらえる年金をみすみす放棄しないようにしっかり調べ、該当するかどうか、自分自身で行動して確かめることが必要です。

荻原 博子(おぎわら・ひろこ)
経済ジャーナリスト

大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。家計経済のパイオニアとして、経済の仕組みを生活に根ざして平易に解説して活躍中。著書多数。