性犯罪に多い「相手も嫌がっていなかった」という言い分

そこで男性はいったん返事を保留にして、ネットで探した弁護士事務所に相談の電話をしたという流れです。事実確認をすると、男性いわく「キスはしたが嫌がってはいなかった」と言います。性犯罪系だと「相手も嫌がっていなかった」という言い分はよくある話なので、それをそのまま鵜呑みにする弁護士はいませんが、状況を詳しく聞いていくと女性の態度や行動もおかしいのです。

お泊りした翌日の朝、男性は先に家を出て、女性に「出るときに玄関のドアを締めて、郵便受けに入れておいてくれたら」と鍵を渡しています。つまり、後から女性が立ち去ったわけです。男性が帰宅してみると鍵は郵便受けに入っていましたが、冷蔵庫には、女性が作ったと思われる、忙しい男性がすぐに食べられそうなおかずがいくつも入っていました。

被害者が、被害に遭ったあと加害者のために料理をして帰るというのは違和感があります。また、示談を持ちかけるにしても、被害者が直接加害者と会おうとする点にも違和感があります。被害者の多くは、例え人目がある場所であったとしても、怖さや嫌悪感から加害者に会いたくない、会えないとなるケースが多いからです。

弁護士
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そこで、男性の依頼を受けた弁護士が、代理人となって女性と交渉することになりました。弁護士が電話で「大変お辛い状況とは思いますが、被害の状況をお聞かせ願えますか?」と聞くと、女性からは「ブラジャーの中に手を入れられました」と回答が。しかし、もともと女性が男性に伝えた被害は「無理やりキスをされた」という内容でした。内容が当初の話からエスカレートしていることに、担当弁護士は不信感を持ったといいます。男性に確認すると「そんなことはしていない」とのことでした。

不審な点がもう一点。「おいくらの弁償額をお考えですか?」という質問に、「検討しますが、そちらからも提示してもらえませんか」以外の回答がいつまでもないのです。早く解決したいなら、相応の具体的な値段を言ってくるはずです。仮に美人局だった場合、相手側に金額を提示させてから「それでは足りない」と上乗せしてくる手口があります。静観しているうちに3週間ほどが経ちました。

被害内容がどんどんエスカレート

女性がこの間に警察に被害届を出すかもしれないので、担当弁護士は先手を打って男性とともに警察に同行し、これまでのやりとりなども全て警察に共有したといいます。

そのあとで女性に「弁償額について、いかがでしょうか」と再度連絡すると、しばらくしてから「警察に被害届を出しました」との返事。この時点で、男性は不同意わいせつの被疑者になってしまいましたが、またも女性側に不審な点が。警察に女性が申告したという被害内容がさらにエスカレートしていて「羽交い絞めにされて、泣いていたのに、無理やり押し倒された」というものに変わっていたのです。

女性と悪魔の影
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被害届が出されたことで、男性は、被疑者として取調べを受けることになり、精神的にとても辛かったと言います。ただし、事前に男性側からも弁護士を通じて、警察には状況の説明やお金を請求されていると相談しており、性加害の証拠が不十分であることから、男性は不起訴となりました。

ただ、男性は、その後女性不信になってしまったそうです。