パックンが香港のファンドを売った理由とは

――パックンさんは中国には投資はしていますか。

【パックン】僕はずっと香港のファンドを持っていました。ただ昨年、損益通算のため売りました。なぜならすごく下がっていたから(笑)。でも、損益通算にはすごく役に立ちましたよ。

いまエミンさんがおっしゃった通り、中国は日米との貿易摩擦が続くし、ロシアに加担しているという理由で、中国の金融に対する制裁も発表されました。中国の政府だけでなく、企業に対する制裁まで行われると厳しいですね。しかも労働人口が減っていきます。中国政府がいつ企業に手を出すかわからないリスクがあるのもこの数年でわかりました。

僕もすごく下がったところで売っているから、中国の状況が悪いことは実感しています。ただ、お買い得感のある企業、株価よりも企業価値が高い銘柄はたくさんあると思います。それを探すのはいいかもしれないけど、その際にはインドやベトナムに投資するときよりリスクを意識しながら、余裕資金で遊ぶ程度のお金で投資するのがいいかなと思います。

【エミン】まあ、そのリスクを取る意味があるのか。ほかに買えるものがたくさんからね。

【パックン】その通り。

【エミン】中国がすべて悪いわけではなく、いい分野や企業はけっこうあると思うけど、カントリーリスクを背負ってまで投資をする意味があるか、それほど中国株や中国の資本市場に魅力があるかを考えると、それはない。

いまは中国から人も資金も逃げている。中国人が買わないものを私たちがあえて買う必要はないでしょう。アメリカ株や日本株に買えるものが山ほどありますから。

【パックン】そうですよ。すごく割安な銘柄はあるけれどリスクがあるから「本当に冒険したい人はどうぞ」という感じですね。エミンさんがおっしゃる通り、ほかにも選択肢はたくさんあるわけですから、お勧めしないですね。

スタイリング=末次秀彦(パックン)衣装協力=perky room STYLIA(エミン) 構成=向山 勇

パトリック・ハーラン(Patrick Harlan)
お笑い芸人

芸名パックン。1970年、米・コロラド州出身。93年、ハーバード大学比較宗教学部卒業。同年来日。福井県で英語教師を務めた後、97年、吉田眞と「パックンマックン」を結成。著書に『逆境力』(SB新書)など。

エミン・ユルマズ(Emin Yurumazu)
エコノミスト

トルコ・イスタンブール出身。2004年に東京大学工学部を卒業。2006年に同大学新領域創成科学研究科修士課程を修了し、生命科学修士を取得。2006年野村證券に入社。2016年から2024年まで複眼経済塾の取締役・塾頭を務めた。2024年にレディーバードキャピタルを設立。著書に『夢をお金で諦めたくないと思ったら 一生使える投資脳のつくり方』(扶桑社)、『世界インフレ時代の経済指標』(かんき出版)、『大インフレ時代! 日本株が強い』(ビジネス社)、『エブリシング・バブルの崩壊』(集英社)『米中新冷戦のはざまで日本経済は必ず浮上する 令和時代に日経平均は30万円になる!』(かや書房)などがある。