都心6区は中古マンションも1億円超え
調査対象の398駅のうち、約98%に当たる389駅で新築時の価格を中古が上回る「逆転現象」が起きた。
築20年で、新築時の1.5倍、2倍に跳ね上がる中古マンションもある。
東京カンテイによると、23区の中古マンション平均希望売り出し価格は、2年8月に70m2当たり7030万円と、3年前に比べて2割強高くなった。
このうち、中央、渋谷、新宿、千代田、港、文京の都心の6区において、中古マンションの売主の初回売り出し希望価格は、70m2換算においても1億円を超えてしまった。
新築は高倍率の抽選がつきものなので、確実に買える高価格帯の中古マンションが人気となる。中古なら新築後の中古市場の値動きも確認できる。
また、あまりの高騰ぶりに新築購入を諦めた人の半数前後は、その地域で中古物件を探すため、新築との価格に落差があれば、中古もどんどん売れていく。
このような経緯から、価格面で中古が新築を逆転する現象が広がることがわかる。
たとえば、マンションが「供給過剰」ともいわれてきた湾岸では、元選手村の「晴海フラッグ」をはじめ、勝どきや月島で今年から数年間、巨大なタワマンがいくつも供給される。
高倍率の抽選から漏れた人々は、供給不足のなか、周辺地の中古物件に向かう。
欧米では中古市場のほうが圧倒的に厚いが、日本も予期せぬ理由で湾岸からそうなりつつある。
これから「負け組物件」に転落するマンションの特徴
流れとしては自然だ。
新築が建設されれば、その物件がすぐ中古として流通可能な物件のストックになる。
高値の中古のストック量が多くなると、すでにある中古物件もよく動くようになる。売買物件が増えて、いつでも売買でき、売買にともなう不安がなくなるエリアに化けるのだ。
さらに、将来の売却益を狙う海外の投資家の購買意欲が中古価格の水準を押し上げる。
彼らは中古マンションを高く買ってくれるのだ。移民を受け入れ、人口が増える米国でさえも、住宅売買の8割は中古が占める。
日本の人口は減少が止まらず、外国人に買ってもらえないマンションは、これから「負け組物件」に転落するだろう。