「旧宮家養子縁組プラン」は継承安定化につながらない
旧宮家養子縁組プランへの賛成の理由で最も多かったのは、「皇位継承資格者が増え、皇室の安定につながるから」というものだった(賛成者の63%、全体の15.75%)。しかしこれは、残念ながら誤解にもとづく。
なぜなら一夫一婦制を前提として、側室制度が不在で少子化という条件下では、たとえ複数の養子縁組が実現したと仮定しても、男系男子限定という無理なルールを維持しているかぎり、「皇室の安定につながる」ことはないからだ。
しかも、このプランは憲法上、「国民平等」の別枠とされている天皇・皇族ではなく、一般国民の中から旧宮家という特定の家柄・血筋=門地の人たちだけに、他の国民には禁止されている皇族との養子縁組を例外的・特権的に認めようとするもの。なので、憲法が禁止する「門地による差別」(第14条)に該当する疑いが指摘されている。それに対して、提案者の政府(内閣法制局)はいまだに説得力のある説明ができないままだ。
「天皇系図」が一変する可能性も
逆に、同プランへの反対理由で最も多かったのは「女性皇族が天皇に即位できるようにすればよいから」(反対者の60%、全体では44.4%)。
皇室に皇族として生まれ育っておられても、女性だからという理由で皇位継承資格を認めない。そのせいで皇位継承の将来を危うくしておきながら、それを放置したまま民間で一般国民として生まれ育った人を、男性だからという理由で、婚姻も介さないで皇族の身分を与える。
令和の現代にそんな時代錯誤な企てを政治家が画策しても、国民はとても納得できない。そのような国民の意思がよく表れた調査結果といえる。
ここで、旧宮家養子縁組プランの重大な問題点を指摘しておこう。それは将来、万が一にも旧宮家系子孫が天皇として即位するようなことがあった場合、現在の皇統はもはや断絶したと見るほかないだろう、ということだ。それはいわゆる「王朝交替」に当たるのではあるまいか。
旧宮家養子縁組プランの対象とされる賀陽・久邇・東久邇・竹田の4家のうち、誰かが養子として皇族になった場合、その子息が即位したと仮定すると、「天皇系図」はどのように描かれるか。
まったく一変してしまう。