現行マシンにも通用、60センチの大物でも落とせる技

⑤ おとし技:技名「ちゃぶ台返し」(難易度★★★★★)
小山佳一『クレーンゲームで学ぶ物理学』(インターナショナル新書)
小山佳一『クレーンゲームで学ぶ物理学』(インターナショナル新書)

この技は、成功するとスカッと気持ち良いプライズゲットが味わえます! そして今現在のクレーンゲームの設定でも通用する大技の一つです。

2006年のチラシによると、「ぬいぐるみの落とし口に遠い方の部分をアームで持ち上げ、そのまま押して、ちゃぶ台をひっくり返すようにして、落とし口に入れ込む」技だと解説されています。

2024年の今でも私は、大型のぬいぐるみプライズの設定によっては、この技を検討します。技のポイントは、プライズの落とし口に遠い部分をアームで持ち上げて、プライズの重心を、支点より落とし口側に傾ける(回す)ことです(図表5)。

よって、プライズの重心位置を予想して、支点の位置を確認し、3本アームのうち、どのアームを使ってプライズのどの位置を持ち上げるのかを検討することが重要になります。

「ちゃぶ台返し」イメージ
筆者作成。出典=『クレーンゲームで学ぶ物理学

私はこの技で、体長約60cmの大型プライズを、多数、落とし口に落とし込んできました。

クレーンゲームの技も様々あり、まさに「温故知新」。物理の基本は変わりませんので、組み合わせ次第で、今でも通用します。

昔の技を復習し、今のゲーム機やゲーム設定に合わせて、どのように使っていくかを考えると、面白いですよね。

小山 佳一(こやま・けいいち)
物理学者

鹿児島大学理学部教授。1967年沖縄県生まれ。愛媛大学理学部物理学科卒業、愛媛大学大学院理学研究科、広島大学大学院生物圏科学研究科修了、博士(学術)。東京大学物性研究所中核的研究機関研究員、東北大学金属材料研究所准教授を経て、2010年より現職。専門は強磁場物質科学。2017年日本磁気科学会優秀学術賞受賞。