NISAなどに頼らず、子どもの学資を貯めるには?
子どもの教育費に関しても、ひとつお伝えしたいことがあります。これから学資保険に加入しようとしている人もいるかもしれませんが、新NISAと同じで現状ではやめたほうがいいでしょう。保険は加入時の利回りが最後まで適用され続けるので、この低金利の中で加入してもほんのわずかしか増えません。正直、バカらしくなるぐらいの額だと思います。
今は、保険商品は貯金としては使わず、保障だけ買うものと考えるべき時期であり、教育費を貯めたいなら現金で貯金するほうが得策です。もちろん、バブル期などの利回りがいいころに学資保険や終身保険に加入した人は、特段の事情がない限り解約する必要はありません。そのまま大切に貯めていきましょう。
投資はあくまで余剰資金でやるべきもの
住宅ローンの繰り上げ返済が終わり、教育費を含めて今後の生活を守れるぐらいの貯金ができたら、ようやく投資の出番です。始めるときは投資に適した環境かどうかを見極めて、なおかつ投資に回すお金は子どもの教育費や老後資金とはきっちり別にしてください。投資の鉄則は「将来必要になることがわかっているお金は突っ込むな」です。
そして、投資にはリスクがつきものであり、買うも売るも自己責任だと知っておいてください。新NISAは簡単で手軽だと宣伝されていますが、投資について何の知識もない場合は、やはり勉強してから始めるべきです。勉強に時間を割きたくない、運用も人任せにしたいという人は、元本が減ることのない「貯金」で手元の資産を守っていきましょう。
構成=辻村洋子
1954年、長野県生まれ。経済ジャーナリストとして新聞・雑誌などに執筆するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとして幅広く活躍。難しい経済と複雑なお金の仕組みを生活に即した身近な視点からわかりやすく解説することで定評がある。「中流以上でも破綻する危ない家計」に警鐘を鳴らした著書『隠れ貧困』(朝日新書)はベストセラーに。『知らないと一生バカを見る マイナカードの大問題』(宝島社新書)、『5キロ痩せたら100万円』『65歳からはお金の心配をやめなさい』(ともにPHP新書)、『年金だけで十分暮らせます』(PHP文庫)など著書多数。