※本稿は、保手濱彰人『武器としての漫画思考』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
インテグラル理論とは
皆さんは、「インテグラル理論」をご存知でしょうか?
現代アメリカのニューエイジの思想家であり、トランスパーソナル心理学の論客・哲学者のケン・ウィルバーにより、2000年に提唱された理論、それがインテグラル理論です。
本理論は特に海外で、発達心理学や経営・人事といった分野を中心に、広く支持されていますが、人・組織・社会・世界の全体像をより正確につかむためのフレームワークとして、筆者が人生で最も感銘を受け、バイブルとしている理論でもあります(詳しくは、『インテグラル理論 多様で複雑な世界を読み解く新次元の成長モデル』〈ケン・ウィルバー著、加藤洋平監訳、門林奨訳、日本能率協会マネジメントセンター〉を参考にしてください)。
ベージュからグリーンまで6つの段階がある
インテグラル理論では、「人々や集団の意識は、時代の変遷とともにスパイラル(螺旋形)のように成熟していく」ことを示すフレームワークとして、「色」を活用して発達の各段階が表現されています。
まず、意識が発達しておらず、動物的な生存本能によって行動する【ベージュ】の段階。こちらは「赤ちゃん」をイメージすれば分かりやすいでしょう。
見えないものを信仰し、儀式や祈りに頼って部族を守る【パープル】の段階は呪術的であり、未開の地の原住民、などを想像してください。
弱肉強食で、個々の強さが絶対的な指標となる【レッド】の段階は、古代の英雄やギャング、昭和の家父長制もイメージできます。
規律やルールができ、それらを絶対として遵守する【ブルー】の段階は、非常に官僚的であり、現在の日本社会はここに重心があります。
さらに、個々の自由や尊厳を認め、成功のために合理的な行動を取る【オレンジ】の段階。起業家的で、アメリカにおいての意識の重心はここにあります。
そして、他者を尊重し、融和して強調する【グリーン】の段階。ESGやSDGs、LGBTが認められてきたのもその一環です。ただしこれを利権として活用し、あまりに主義主張が押し付けがましい団体が出てきているという弊害もあります。