難関大学の付属が様々な沿線に
著名な私立中学(ならびに国立中学)は、おもに東京の都心部にあり、「沿線」といえるような場所には少ないのが現状だ。
しかし、中高一貫校で難関大学への高い進学実績を誇る学校や、難関大学の付属学校が「沿線」と呼べる地域にも存在する。
まず、京急電鉄沿線には、浅野中学校・高等学校という、神奈川私立男子御三家のひとつがある。京急新子安駅近くである。
相模鉄道沿線には、湘南台駅が最寄りの慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部がある。
東急電鉄沿線には、まず東横線の日吉駅近くに慶應義塾普通部が存在する。世田谷区の東横線と田園都市線の中間あたりに、国立だが東京学芸大学附属世田谷中学校がある。田園都市線では、あざみ野駅近くに桐蔭学園中学校・高等学校・中等教育学校がある。
小田急電鉄では、近年進学実績を伸ばしている鷗友学園中学校・高等学校があり、一方で一貫教育の成城学園中学校がある。また、和光学園中学校や玉川学園中学校も独自の教育方針で人気を集めている。
東京都内東側には有名私立中高一貫校がない
京王電鉄では、井の頭線沿線に進学実績を伸ばしている駒場東邦中学校・高等学校があり、さらには国立最難関中学の筑波大学附属駒場中学校・高等学校がある。京王線沿線では、女子の進学校でかつ音楽教育でも有名な桐朋女子中学校・高等学校も知られている。
西武新宿線沿線には、早稲田大学高等学院中学部があり、西武池袋線沿線では武蔵中学校・高等学校が「男子御三家」のひとつとして知られている。武蔵中高からの東大合格者は減りつつあるものの、独特の教育方針が高い人気のもとになっている。
このあたり、どうしても東武鉄道や京成電鉄沿線では弱いものがある。中学受験への意欲は東京西側の私鉄沿線で高い傾向があり、そのことが都心部ではないところにある私立中学の隆盛をもたらしているのだといえる。
東武鉄道や京成電鉄沿線の中学受験者は、交通の便のいい都心部の中学校を受けるか、埼玉県や千葉県の私立中学を受けるということになるのだろう。千葉県ならば市川中学校・高等学校や、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校をめざす。
東京都内東側に、進学実績の高さで知られる有名私立中高一貫校がないというのは、「沿線格差」の面からも「地域格差」の面からも気がかりなことである。ただ、近年都立中高一貫校が増えていることで、補完しているのかもしれない。