転職の面接では、答えにくい質問をされることもある。キャリアカウンセラーの中谷充宏さんは「答えにくい質問は、面接官の狙いを読んで対応することが重要。その質問を通じて面接官が何を知りたいと考えているのかを推測し、実直かつ前向きに回答するといい」という――。(第4回/全6回)

※本稿は、中谷充宏『30代後半~40代のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)の一部を再編集したものです。 

面接で握手をかわすビジネスマン
写真=iStock.com/SunnyVMD
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内定を出したら、間違いなく入社していただけますか?

【面接官が知りたいのはココ!】
嘘はいらない。本音ではどう?
どんな条件をクリアすると、入社確定となる?

第1志望であれば、「はい、喜んで入社させて頂きます!」で終了です。

問題は、他に志望度の高い企業に応募しているケースです。

転職活動で苦戦中だと、「とにかく内定が欲しい。手段を選んでいる場合ではない」とばかり、第1志望は別の企業なのに「御社が第1志望ですから入社します」と答える人がいますが、絶対にNGです。

ここは、今の心境をプラス方向で実直に語ってください。

実直と言っても、「最終的には労働条件を比較して決めます。御社からの条件提示がどの程度かによります」といった愚直すぎる回答はNGなのは言わずもがなです。この企業に多少なりとも興味があるから面接に臨んでいるわけで、表現の工夫が必要になります。

たとえば、「今、ここで入社しますと即答はできませんが、私が培ってきたスキルを活かして、御社で○○分野の発展に貢献したい気持ちが強くあることは間違いありません」と、今の心境をプラス方向で語ることで、即答できない負い目を、大人の表現力でフォローすればいいわけです。

たとえばこういう人の場合

37歳女性。大卒後、証券会社3社でリテール営業職として勤務。4社目の転職で異業種(クレジット会社)・同職種(リテール営業職)への応募。

NG!
「仮定の話になりますので、内定を頂きましたら真摯しんしに考えたいと思います」

↑面接官は、必要があって聞いているのですから、はぐらかすのはやめましょう。

OK!
「正直に申し上げて、今の時点で間違いなく御社に入社するとは申し上げられません。もちろん内定を頂ければ、大変光栄です。
しかし不況やDXの影響もあって、今まで不本意な形で退職を余儀なくされ、結果として転職回数が多くなってしまったことを悔いております。次こそじっくりと根を下ろして働きたい、特に前職は短期間で退職になりましたので、次の進路選びを納得できるまでしっかりやりたいというのが、私の強い想いです。
わがままを申すようですが、どうかご理解を頂ければと思っております。
御社の場合、通常は内定通知後2週間以内に返答する旨、転職エージェントより伺っていますので、もし正式に内定を頂けましたら、期間内に精一杯悩み抜いて、悔いのない結論を出したいと思っております」

↑表現をこねくり回すよりも、一貫して実直に語る方が、潔くて面接官も納得してくれる可能性が高くなります。