片づかない人と片づけられる人の違い
これまでは、片づかない理由やその奥にある心理についてお話ししてきました。ご自身への理解がだいぶ深まってきたのではないでしょうか。ここでもう一歩進んで、これまでの自分の“当たり前”を疑い、勇気をもっていったん捨ててみましょう。
1 買ったら捨てる →→→ 捨てたら買う
欲しいモノを見つけた時、「家に帰ったら古いのを捨てればいい」と言い訳しながら買っていませんか? それで実際、古いほうを捨てたことがありますか? 買ったら捨てるのではなく、捨てたら買うに逆転してしまえばいいのです。手放してから買う。気持ち的にも大きなチェンジになると思います。
2 好きだから買う →→→ これからの私に必要だから買う
好きだから買ってしまう。一見もっともですが、それ、買わないと夜も眠れませんか? これからのあなたに必要ですか? いったん立ち止まるクセをつけると、「好きだから」の衝動買いが減ります。片づけが終わった後のあなたの生活は今とは違うはずです。あなた自身が変わっているはず。片づけた後の「グレードアップした私」に必要なモノだけを買うことにしましょう!
3 大切に取っておく →→→ 使い切ってこそモノの役目と心得る
カワイイから、好きだから、思い出の品だから……大切に取っておいたはいいけれど、使わないので結局、押し入れの奥へ奥へと押しやられ、ある瞬間、見るとカビが生えていた……。悲しいですよね。取っておいた意味がありません。大切なモノは大事に取っておくよりも、使い切ってその役目を全うさせてやることが、本当に大切にしたことになるのだと思います。
4 すべて揃える →→→ 代用できるモノで済ませる
5客のカップ&ソーサーのセット。和洋中なんでも料理できるスパイスセット……。片づけられない人には完璧主義の方が多く、セットものは全部揃えないと気が済まないという人も多いです。数十年前のバブル期ならともかく、食器セットなんて場所を取るだけ。家族の人数分、あればよし。
調味料だって中華料理は甜麺醤と豆板醤とコチュジャン、全部揃ってなくても作れます。豆板醤がなくても、味噌、しょうゆ、一味唐辛子があれば代用できます。子どもの使う色鉛筆は36色セットでなくても12色で十分です。いろいろ混ぜ合わせることで、他の色が作れます。ないものを買って揃える前に、いったん立ち止まり「何かで代用できないかな?」と考えてみましょう。
片づいた部屋をキープするには、「あるもので済ませる」思考にチェンジすることも必要です。
今まで当たり前だと思っていた自分の中の常識を変えるのは、言うは易く行うは難しかもしれません。でも、片づけとは部屋をキレイにするだけではありません。自分を変えること。これまでの当たり前を打ち破ってこそ新しい発見があります。
片づけられるようになると「収入」が増える不思議
受講生のみなさんには、その後の様子も聞いています。片づけによって得られたことを生き生きと話してくれます。片づけの副産物として、収入が増えたという人が多いです。
ある女性は、それまで毎日残業しないと仕事が終わらなかったのに、家を片づけられるようになったら仕事の効率が上がり、定時に帰れるようになりました。夕食後の時間に、以前からやりたかったセラピストの勉強をし、やがて自宅にセラピーサロンをオープン。帰宅後や休日を使った副業で収入を得られるまでに成長しました。
また、ある女性はムダ遣いがなくなったことで使えるお金が増え、時間にも余裕ができたのでファイナンシャルプランナーの資格を取得し、独立も果たしました。もうすぐ1000万円プレーヤーになれそうです。
以上はほんの一例ですが、受講生のみなさんに会うと、表情はやわらかく、そしてキラキラと自信に満ちているのがわかります。片づけは人を変えられる最高のセルフコーチングだと実感しています。
片づけを実践していくことで、それまで顧みなかった家庭を振り返り、家族との絆を新たにできたと話す人も少なくありません。
モノに依存し、過去に執着していた私はもうおしまいにしましょう。
思えば、時間の使い方やお金の使い方が変わるというのは、人生が変わるのに等しいかもしれません。片づけは人生を変える力を持っています。片づけを通して、本当の自分を取り戻しにいきましょう。
1967年生まれ、岡山県出身。大学卒業後、住宅メーカーのインテリアコーディネータとして従事。結婚し、20年専業主婦を経験したが離婚。その後はヨガスタジオの店長としてスタジオに通う多くの女性のさまざまな相談に応じる。2015年、得意の片付けを生かして起業。お片づけ習慣化講座「家庭力アッププロジェクト」修了生は全国で3000名を上回る。