片づけられない人の「3つの心理」

1.ため込もうとする心理

モノをため込んでしまう人に共通しているのは、「心に不安がある」ことです。不安やさびしさをまぎらわすためにモノに頼ってしまう。身の回りにあるモノに愛情を抱いたり、異常に執着したりするのです。

わかりやすい例が、買い物依存です。同じブランドバッグを、使いもしないのに10個以上買っていた女性がいました。買っても使わずに押し入れにしまっていたので、片づけを始めたら10個以上も出てきて驚いたということです。

なぜこんな行動をしてしまうのか。心理学的に見るとわかります。この女性にはまだ言葉のしゃべれない幼児がいて、日中はずっと家の中でその子とふたり。育児と家事のいわゆるワンオペ状態でした。幼児と会話はできません。夫は忙しくて話を聞いてくれません。

そんなストレスフルな状態で、ときどき母親に子どもを預けられる日があり、その日は大好きなブティックに飛んで行きます。その店のスタッフと話をする時だけが、彼女にとって普通の大人として話せる唯一の時間だったといいます。その時間と引き換えに、彼女はバッグを買っていたのです。ため込んだ高級ブランドのバッグは、心にため込んだ不安そのものです。

このようにため込もうとする心理には、モノそれ自体を見えなくさせる作用もあります。

2.取捨選択できない心理

捨てていいモノかどうか決められない人に共通しているのが、「自分の判断に自信が持てない」ことです。

これ、いるかな? どうかな? そう考えた時に、「捨ててしまったら後で悔やむんじゃないか」とか、「もしもの時にこれがなかったら困るんじゃないか」などと考えてしまい、「やっぱり取っておこう」で終わります。片づけは自問自答の繰り返しですが、自問自答しても自分の判断に自信がないので、後悔を怖れて決断できません。

さらに、捨てられない自分に嫌悪感を感じてしまい、ますます自信を失ってしまいます。取捨選択できない人の心理は、「自分の判断に自信が持てない」負のループにもはまりやすいのです。

家の中の70%以上はほぼ使用しないモノ

3.モノを捨てられない心理

なぜ捨てられないのでしょう? そこには4つの心理が働いています。まず、「もったいない」心理。実際に、家の中の70%以上が、ほぼ使用しないモノだといわれています。「これ使う? 使わない?」と自問する時点で、今の生活には必要ないことが明らかなのですが、もったいないので捨てられないのです。

つづいて「いつか使うかも」の心理。これも「いつか使うかも」と迷いが生じた時点で今の生活に不要であることを物語っています。

次に「モノは大切にしなくてはいけない」という罪悪感。たとえば、いただいたプレゼント。自分の趣味とは合わないんだけれど、捨てたら悪いと思って手放せない。でも、プレゼントは気持ちを受け取るものです。だから気持ちを受け取ったら、モノに執着する必要はないはずです。モノを大切にしないとバチが当たる的な考えは、本当にモノがなかった時代の価値観の名残です。もうそろそろ手放しましょう。

最後に「見栄を張りたい」心理。モノを多く所有することで、本来の自分より良く見せたいと思っている。特にブランドものの洋服やアクセサリー、バッグなど人の目につきやすいモノを多く持ちたがります。でも、モノをたくさん持っていることが富の証しだった時代は遠く去りました。

部屋は心の鏡です。これは私が常に心に留めている言葉です。仕事が忙しくなったり、余力がなかったりすると、部屋が雑然としていきます。

そういう時は、いったん手を止めて先に片づけをすると気持ちがスッキリし、仕事に集中できたり、余力が生まれたりします。片づけられない人は図1のような負のスパイラルに陥りやすいのです。