『テトリス』と違って時間制限がなく家族で話し合える

ちなみに本作は、中国で2021年1月ごろにSNSを中心にブームとなった『合成大西瓜』と呼ばれるブラウザゲームをモチーフとしたのではないかと言われているが、各フルーツにキャラクター性を与えたり、物理演算によってぶつかったフルーツが跳ねたり転がったりする要素を付与したのは『スイカゲーム』のオリジナルとなる。特に後者はぶつかり合ったフルーツが思わぬ動きをしてチャンス(あるいはピンチ)を作り出したりしてくれるなど、本作のゲーム性向上に大きな貢献をしている。

「元社長の程涛が言ったように、『スイカゲーム』では家族みんなで楽しめることを重視しています。その象徴と言えるのが、ゲームに時間制限がないこと。一般的な落ちものゲームは落ちるスピードがどんどん速くなり、より素早い操作を求められるようになっていくのですが、『スイカゲーム』はどこに次のフルーツを落とすか、周りの家族や友人と話しながらゆっくり決めていけるところが間口を広げたのではないでしょうか。

プレー後、次はもっと上手くできるのではないかと思ってしまうところも絶妙で、私自身もすっかりハマってしまっています。これから『スイカゲーム』を始めるという方には、まず3000点を目指してみていただきたいですね。え? 私ですか? 私はまだ2600点くらいなんですよ、メーカーの人間なのにすみません……」(岡本さん)

スイカが2つできて接触すると両方とも消滅して高得点が狙える © 2021 Aladdin X Inc.

これからの人気ゲームはインディーズ市場から生まれる?

こうしてヒットした『スイカゲーム』だが、そのブレイクの道のりは、一般的なゲームタイトルとは大きく異なっている。とはいえ、「配信で火がつく」は近年、特によく見られる構図だ。

その背景にあるのが、家庭用ゲーム機市場における、インディーズゲームの定着・拡大だ。インディーズゲームとは、任天堂をはじめとする大手メーカーではない、個人あるいは小規模スタジオの手がけた作品のこと。大手メーカーの手がけたメジャータイトルと比べて規模こそ小さいが、一点突破のアイデアや作り込みの点ではむしろ優れていることも多く、価格も数百円〜数千円程度と安価なことから、メジャータイトルの開発が停滞した新型コロナ禍前後に大きな盛り上がりを見せた。今では「インディーズ市場を制したプラットフォームがゲーム機市場を制する」とまで言われているほどだ。