ヘンリー王子は王室内の秘密を暴露

もちろん、最も問題になっているのは、英国王室内の描写だ。ハリーは英国のタブロイド紙のメーガン・バッシングには、アフリカ系アメリカ人である彼女を排除しようとする王室内の人間が関与していると断言する。

なかでも衝撃なのは、メーガンのことを批判した兄ウィリアムとキッチンで口論になるシーンだ。

「ウィリーは僕の胸ぐらをつかんで床に押し倒した。床に置いてあった犬用の餌のボウルが背中で割れて、破片が食い込んだ」

また、父チャールズに対しても「カミラとつきあうのは許すが、結婚だけはしないでほしい。王妃として戴冠させないでほしい」と願ったが、裏切られたと書いている(今年5月に戴冠式)。

『スペア』は「金目当てだ」と批判されている。ハリーはこの本の印税で27億円、さらに、Netflixで放送されたドキュメンタリー『ハリー&メーガン』ではプロデューサーとして200億円を手にしたという。王室を離脱して英国からの公金が支給されなくなった以上、自力で稼ぐ必要はあるのだろう。父の土地の不動産賃貸料として年に3億円近くを受け取り続けるのだが。

書評も手厳しい。英国の保守系新聞タイムズ紙は、「400ページに及ぶハリーのセラピー記録」、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「半狂乱」、米ワシントン・ポスト紙は「ハリーはタブロイド紙を憎みながら、タブロイド紙にスキャンダルを提供している。プライバシーを守れと言いながら、兄や父のプライバシーを侵害している」と矛盾を指摘する。