自分に対して条件付きの愛をやめる

卵子はよみがえる』など不妊治療に関する著書を多数発表されている、ウイメンズクリニック南青山の小杉好紀院長は、40代からの妊娠・出産について印象的な言葉で語ってくれました。

ウイメンズクリニック南青山の小杉好紀院長
ウイメンズクリニック南青山
小杉好紀院長(写真=本人提供)

「もうそろそろ、あなたを許してあげてもいいのではないですか――。

不妊に悩む人は、一生懸命頑張りすぎるきらいがあります。逆に、40代でも自然妊娠するタイプは、あっけらかんとしていて、マイペース。

頑張りすぎれば、体全体のバランスが崩れてしまいます。不妊というのは、その1つの表れであり、それ以外にも体のいたるところで問題が起きているのです。

頑張りすぎの人は、自分に対して条件付きの愛しか持てなくなっています。周囲の期待に応えるべく、高い目標を持ち、それができた時だけ、自分をほめる。達成しなければ、悩み悔やむ。

不妊もまさにそうでしょう。親、パートナー、そして自分。三者そろって体に過剰期待する。これではバランスがどんどん崩れてしまいます。

そんな、条件付きの愛をやめ、代償を求めない愛で、自分を受け入れる。最新治療はもちろん重要ですが、その前に、あなたを許してあげることが重要です」

前回書いたように、アフリカのエスワティニ(旧スワジランド)では今でも40代女性が平均0.9人もの子どもを産んでいます。リベリアやサモアでもその数字は0.5人に迫る。大正時代の日本も同様に0.46人を産んでいました――それは、現代の日本よりも、無理せず自然に生きていける社会だからこそ、可能だったのかもしれません。

海老原 嗣生(えびはら・つぐお)
雇用ジャーナリスト

1964年生まれ。大手メーカーを経て、リクルート人材センター(現リクルートエージェント)入社。広告制作、新規事業企画、人事制度設計などに携わった後、リクルートワークス研究所へ出向、「Works」編集長に。専門は、人材マネジメント、経営マネジメント論など。2008年に、HRコンサルティング会社、ニッチモを立ち上げ、 代表取締役に就任。リクルートエージェント社フェローとして、同社発行の人事・経営誌「HRmics」の編集長を務める。週刊「モーニング」(講談社)に連載され、ドラマ化もされた(テレビ朝日系)漫画、『エンゼルバンク』の“カリスマ転職代理人、海老沢康生”のモデル。著書に『雇用の常識「本当に見えるウソ」』、『面接の10分前、1日前、1週間前にやるべきこと』(ともにプレジデント社)、『学歴の耐えられない軽さ』『課長になったらクビにはならない』(ともに朝日新聞出版)、『「若者はかわいそう」論のウソ』(扶桑社新書)などがある。