片づかない家には「地雷」がいっぱい
こんまりさんの「片づけをあきらめた」という発言を聞いて、ほっとした人は多かったのではないでしょうか。やはり育児をしながら片づけるのは大変ですから、小さい子のいるママは共感しますよね。こんまりさんができないなら、私ができなくてもしょうがないかなって。でも、こんまりさんは、もともとできる人です。もともとできる人がやめたというのと、できない私がやめたというのとでは、意味合いが全く違うのではないでしょうか。
片づけのできない人が片づけをやめてしまったら、いつやるのでしょうか。家の中に埋まっている地雷は、いつ除去するんですかと思うのです。
そう、片づかない家には、地雷が埋まっているのです。散らかっている家は物が見つかりませんから、たとえば夫が「あれどこに行った? ここに置いたはずなのに」ってイライラし始めたら、家族に対して怒っているわけでなくても、そのイライラのエネルギーが家族に伝染します。妻は責められている気持ちになって「はあ? 知らないし」と防御体制に入り、よくない言葉が次々に出てきて、ついには喧嘩が始まります。
そういうときに夫婦というのは、とかくこの探し物の話だけでなく「お前はいつも片づけないから」「あなたがだらしないから」と、過去のことまで持ち出して責めて、最後は互いに人格を否定し合う。本当によくないですよね。家がいつも片づいていないと、それがいつ勃発するかわからない。だから片づけは、家庭内の地雷除去ともいえるわけです。
10分の片づけで驚くほど変わる
当社のお片づけプロジェクトの受講生も、家族がギスギスしている人は多いですよ。3分の1ぐらいの人は片づかないことで、夫ともめています。妻がイライラしている家には、夫も帰りたくなくなるんですよね。
実際、受講生さんの中に「お前はかわいいと思って結婚したのに、部屋が片づかなくてずっとしかめ面をして、子どもを怒鳴っているから顔も見たくない」って言われた人がいました。「だったらあなたがやりなさいよ」と言いたくなりますが(笑)。仕事から疲れて帰ってくるたびに怒鳴っている妻を見たくない気持ちもわかる気もします。
先日、当プロジェクトに参加された方に、小学校入学、保育園入学、生後2カ月の3人のお子さんを持つAさんという女性がいらっしゃいました。Aさんいわく「人生の中でもいちばん大変な時期トップ3」という時期に参加されたのです。
当プロジェクトは日々10分の積み重ねで片づけていくプログラムですが、彼女はこの日々10分の片づけで、家が片づくだけでなく、飛躍的に時間の使い方がうまくなりました。時間に追われて押しつぶされそうになっていた気持ちが解消されて、子どもを怒鳴ることも、夫との喧嘩もなくなったそうです。A子さんは「もう一人産んでもいけるんじゃない?」と思うぐらい余裕ができたそうです。
家を片づけて「人生」を取り戻そう
私は片づかない家に暮らすのは、片づけだけでなく、自分の人生まであきらめている気がするのです。どうせ私は片づけられないから、夫もやってくれないし、子どももできないし、といろいろなあきらめが家の中にあり、仕事やキャリア、人生そのものがあきらめの色に覆われていく。
こんまりさんは子育てが一段落されたら、またこんまりさん流の片づけをなさると思います。なぜなら、もともと片づけのスキルを持っている人だから。
こんまりさんはこんまりさん。自分は自分です。こんまりさんが片づけをあきらめたからといって、私もしなくていいかって、あきらめないでほしいのです。
1967年生まれ、岡山県出身。大学卒業後、住宅メーカーのインテリアコーディネータとして従事。結婚し、20年専業主婦を経験したが離婚。その後はヨガスタジオの店長としてスタジオに通う多くの女性のさまざまな相談に応じる。2015年、得意の片づけを生かして起業。お片づけ習慣化講座「家庭力アッププロジェクト」修了生は全国で3000名を上回る。