収入が減ったらもらえる手当・給付金

定年後、再雇用・再就職したものの、収入が減ってしまう可能性は高いでしょう。そんなときに利用したいのが「高年齢雇用継続給付」です。

高年齢雇用継続給付では、

・60歳以上65歳未満
・雇用保険の被保険者期間が5年以上
・60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満に低下

という条件を満たした場合に、賃金の最大15%の給付金がもらえます。

高年齢雇用継続給付には、失業手当を受け取らずに再雇用された場合の「高年齢雇用継続基本給付金」と、失業手当を一部受け取って再就職した場合の「高年齢再就職給付金」の2つがあります。詳しくは、以前の記事で紹介していますので、ご覧ください。

収入が減った場合、年金をもらいながら働くことを考える方もいるでしょう。65歳から70歳までの間、老齢厚生年金をもらいながら厚生年金に加入して働くと、もらえる老齢厚生年金の金額が毎年10月に増加します。これを「在職定時改定」といいます。在職定時改定で増える年金額は、平均標準報酬月額(≒平均給与)30万円の方で約2万円(年額)。毎年もらえる年金が増えるのを見ながら働けるので、モチベーションもアップするでしょう。

ただし、60歳以降の老齢厚生年金額(月額)と給与の合計が48万円(2023年度)を超えると、年金の一部がカットされる在職老齢年金という制度もあります。在職老齢年金では「(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)×2分の1」の年金額がカットされます。

年金手帳
写真=iStock.com/tamaya
※写真はイメージです

たとえば、65歳の人が月12万円の老齢厚生年金と40万円の給与をもらえる場合は、「(12万円+40万円-48万円)×2分の1=2万円」となり、老齢厚生年金額が2万円減額されます。さらに、給与が月56万円まで増えると老齢厚生年金は全額停止となります。年金をもらいながら厚生年金に加入する場合は、働き方を抑えたほうがいいでしょう。

在職老齢年金によって老齢厚生年金額が減額されるなら、老齢厚生年金を繰り下げ受給して年金額を増やそうと考える人もいるかもしれません。しかし、在職老齢年金によって支給停止されるはずの部分は、繰り下げても増額の対象外です。

70歳まで繰り下げた場合の老齢厚生年金は(12万円+12万円×42%)×12カ月=204万4800円とならず、(12万円+10万円×42%)×12カ月=194万4000円となります。

仕事を探すときに役立つ手当・給付金

仕事を探すときに役立つ手当・給付金には、次のものがあります。

退職後、新たに仕事を探すときに役立つのが失業手当と高年齢求職者給付金です。64歳までは失業手当、65歳以降は高年齢求職者給付金がもらえます。

どちらも、雇用保険に加入している人が離職後に

①就業したいという意思がある
②いつでも就職できる能力・環境がある
③就職できていない
④積極的に求職活動をしている

という条件を満たし、「失業の状態」となった場合にもらえる給付金です。

もらえる金額は、退職前6カ月の賃金合計を180で割った「賃金日額」に、所定の給付率をかけた金額(基本手当日額)です。

ただ、失業手当と高年齢求職者給付金ではもらえる日数が違います。失業手当は、60歳から64歳の場合90日〜150日分もらえますが、65歳からの高年齢求職者給付金の場合は30日または50日です。これならば、失業手当をもらったほうがいいですよね。

65歳になるまでに退職すれば、失業手当がもらえます。しかし、特別支給の老齢厚生年金や、老齢年金の繰り上げ受給をする場合は、老齢年金が停止されてしまいます。したがって、

退職は65歳になる直前の「64歳11カ月」がもっともよいタイミングとなります。

これなら、退職後に失業手当が受け取れますし、年金の停止も受けずに済みます。65歳以降は、所定の日数分失業手当を受け取りながら年金も受け取れます。

ただ、会社によっては65歳より前に退職することで退職金や賞与が少なくなるデメリットも生じます。退職前に、会社にそのようなデメリットがないかを確認しましょう。