知能を高くキープするためには好奇心旺盛であれ

石山恒貴『定年前と定年後の働き方 サードエイジを生きる思考』(光文社新書)
石山恒貴『定年前と定年後の働き方 サードエイジを生きる思考』(光文社新書)

他方、30.3%の人が「自分のキャリアと向き合う機会になった」、同じく30.3%の人が「プレッシャーがなくなり、気持ちが楽になった」、20.7%の人が「マネジメントから解放され、いままで取り組めなかったことをやる気になった」と回答している。つまり同じ役職定年であっても人の受け取り方は様々であり、そこには個人差も大きいと考えられる。

このようにシニアの働き方と幸福感については、個人の違いを見ていくことが重要だろう。実は、高尾真紀子氏と筆者の幸福感に関する共同調査では、好奇心と自身のキャリアへの関心を持つことが、幸福感を高めていた。これは西田裕紀子が、加齢に伴い知能を高く維持する要因として「経験への開放性」をあげていたことと一致する。経験への開放性とは、好奇心旺盛であることだからだ。

石山 恒貴(いしやま・のぶたか)
法政大学大学院教授

一橋大学社会学部卒業。産業能率大学大学院経営情報学研究科修士課程修了、法政大学大学院政策創造研究科博士後期課程修了。博士(政策学)。NEC、GE、米系ライフサイエンス会社を経て、現職。主な受賞として、経営行動科学学会優秀研究賞(JAASアワード)、人材育成学会論文賞、HRアワード(書籍部門)入賞など。著書に、『日本企業のタレントマネジメント』(中央経済社)、『時間と場所を選ばないパラレルキャリアを始めよう!』(ダイヤモンド社)、『越境学習入門』(共著、日本能率協会マネジメントセンター)などがある。