テレビが人々の行動に与える影響
私たちは日々さまざまな情報に接しています。この中でも大きな役割を果たすのがテレビです。1953年の放送開始以降、テレビは多くの情報を人々に運んできました。近年ではインターネットの利用が進み、テレビを見る人の数が減少しつつありますが、依然としてその影響力は大きいと言えます。
私たちはテレビから得られた情報を信頼し、自分の行動を変えることがあります。一番身近な例は、天気予報です。明日雨が降るとわかれば、傘を持っていくでしょう。また、テレビで紹介されたお店が近くにあれば、今度の休みに行ってみようかとなるかもしれません。これ以外にも株が上がっていれば、株を買ってみようかと思うかもしれませんし、逆に株が下がっていれば、急いで売らなければと思い至るかもしれません(実際にはその逆の行動をしなければいけないわけですが)。
ニュースは私たちの出産行動に影響するのか
では、テレビから得られた情報によって、私たちの出産行動は影響されるのでしょうか。
「えっ! そんなことないでしょ!」と思われるかもしれませんが、テレビのニュースで「伸び悩む賃金」「夏のボーナスが大幅削減」「失業率が前月よりも上昇」等のネガティブな報道が多かった場合、今後の景気が不安となり、「子どもを持つタイミングをずらそうかな……」と思うかもしれません。子育てにはお金がかかるため、景気が良く、経済面が安定していた方が望ましいと言えます。このため、ニュースで経済環境が悪いと知れば、出産のタイミングを遅らせても不思議ではありません。
はたして実態はどうなっているのでしょうか。実は最新の研究で「テレビのニュースと出生行動の関係」が検証されており、興味深い結果が得られています。
分析の舞台となったのはイタリアです。