こんなに育児が面白いとは

育児書では、困ったときの対処法ばかりが強調して書かれている。また、世間一般に、「育児って大変なのよ」「子育ては、苦労の連続だ」ということばかりが広まっている。

もちろん、大変なことも多く、苦労も尽きない。これからもっと大変だろうが、それらを補ってあまりある楽しい発見が日々、たくさんある。

「こんなに育児が面白いとは。早く言ってよ! という感じだよね」

妻とよく、そう言い合って笑うことがある。これは50代と40代(まもなく、60代と50代)という人生経験を経てきてしまったパパとママだからということもあるだろう。

しかし、もっともっと、子育ての楽しさとかやりがいが世間に広まらないと、理屈ばかりが先行する少子化対策は、前に進まないだろうと実感している。

ウチは大変な思いをして子どもが産まれたから、余計にそう思うのかもしれないが、もっともっと大変な家庭はいくらでもある。肝心なのは、そうして子どもが産まれたことの尊さ、かけがえのなさであり、日々の暮らしがいい意味で一変するということをもっともっと知ってほしい。

育児と介護は似たところがある

そして、子どもの“進化”を見ながら、常にもう1つのことが頭をよぎる。

育児と介護は似たところがあるなあ、と思うのである。特に還暦が迫る私にとっては、育児と老後がそう遠くないところにある。

この項の冒頭で書いた、オムツ、飲食、歩行、着替え、入浴などに助けが必要なのは、育児と介護の共通項だ。

街中を見回すと、保育園や幼稚園などの保育施設と、高齢者の通所リハビリテーション(デイケア)施設や老人ホームが、同じぐらいの規模と数で地域ごとに点在している。

最近では、保育施設と高齢者施設を同じ法人が管理していて、棟続きになっているケースも珍しくなくなってきた。

普通、若いパパママは、育児をしながら自分の老後のことなど考えないだろうが、介護する、介護されるときのことを考えてしまうのは、この年ならではだろう。

もちろん、小さい子と、老人の世話をするのとでは、日々のルーティンワークに要する体力的な負担の差はかなりあって想像を絶する苦労なのだと思うが、老後が迫る中で育児に参加することで、人間にとって大切なことを学べているような気がするのだ。