学校間、男女間の格差が激しい「制服」負担

制服・学校指定品類にどれくらい費用がかかっているのか、それは増えているのか減っているのか──よく問われることだが、これは「学校次第」であるというしかなく、参照した文部科学省調査から「どうやら増えているようだ」としか答えられない。

しかしどれほど「学校次第」なのか。つまり、学校間の格差を説明する必要はある。『隠れ教育費』の中で、ある同一自治体内に存在する公立の2つの中学校を例として表を掲載している。それを参照してみよう。

ブレザーやスラックスもしくはスカート、ワイシャツもしくはブラウスなどの通学に必要な制服類の購入費用として、たとえばA中学校では男子は5万882円、女子は6万917円がかかる(夏冬、全て一着ずつ購入の場合)。同じ学校にもかかわらず、性別によって1万円の差が生じている。

同じ市内のB中学校の場合、男子は5万341円、女子は4万8226円である(同)。同じ自治体にもかかわらず、女子は1万円以上の差があることがわかる。また、これは一着ずつ購入の場合で、ワイシャツやブラウス、ポロシャツなどは当然洗い替え用に複数枚購入が前提となる。

加えて、靴下や肌着、下着、ベルトやコートなどの防寒具などは、学校指定のものがなくても、色指定や型指定が行われていることがある。小学校ではジャンパーやダウンジャケットを着ていても、中学校でPコートやダッフルコートの指定がされれば新たに買い足す必要があり、しかもその金額は決して安くはない。後で詳しく検討する小学校のランドセルもまさにそうで、「指定品扱い」されていることで実質的な負担額が増えているものである。

さらに、上靴・体育館シューズ・通学靴などの靴類、通学バッグ・サブバッグなどのカバン類が、文字通り「学校指定品」とされているところがある。これらの制服以外の学校指定品が、A中学校では2万9670円、B中学校では3万1150円かかる(一つずつ購入した場合)。

「制服は私服に比べて割安」なのか

制服類、そしてその他の学校指定品を各々合計すると、A中学校男子は8万552円、女子は9万587円、B中学校は男子が8万1491円、女子は7万9376円となる。重ねて指摘するがこれは一揃い購入しただけの金額で、成長に合わせて買い替えれば10万円を軽く超える費用が制服・学校指定品類にかかってくる。

「制服は私服に比べて割安だ」とよく言われるが、実際のところこれが割安に済むかどうかは子どもの成長度合いやライフスタイル、私服の好みなどによって異なり、子育て世代では「思ったより制服に費用がかかる」という声が後を絶たない。

しかも学校関係者は、自校の制服・指定品がいくらで販売されているか知らないまま、「明日までに買ってこい」と指導することもある。まさに「隠れ教育費」である。