「旅行積立」以上に有利な旅の作戦

このように注意点はあるものの、計画的に旅行を考えているのであれば、旅行積立は大いに利用価値があると思います。ただ、実際には旅行積立以上に有利に旅行できる方法はあります。最も有利な方法は、ごくシンプルな話で、時期の選択です。

航空券の価格を見ると連休や夏休みと普通の時とでは2倍くらい違うこともあります。旅行積立で増やせる数万円程度とは比較にならないくらいその差は大きいのです。さらに出発日によっても一日違うだけで10万円も違うケースがあります。これは格安航空券の場合も同じで、私は以前ニューヨークに遊びに行った時に格安航空券で12月の初めに行ったところ、往復5万円強で行けました。ところが11月だと倍ぐらいの値段だったのです。

混雑した空港、手荷物検査場には行列ができている
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価格の違う主な要因は需給だと思いますが、夏と冬といった季節でもまったく価格が違います。例えばヨーロッパなどではどうしても気候の良い夏に行きたいという人が多いため、夏はかなり高くなります。「冬は寒いから嫌だ」というのはその通りですが、実はそういう季節に行ってこそ、観光客が少なく、現地の人の生活や空気感が味わえるというメリットだってあります。

最近では夏休みといっても必ずしもお盆の時期だけではなく、会社によっては6月~9月までの時期でフレキシブルに取れるという場合もあるようですから、できるだけ繁忙期を避ける工夫をした方が良いでしょう。

「旅行積立」は利用前に各社の比較を

ただ自由業や定年退職した人であればともかく、会社員として働いている人であれば、どうしてもGWやお盆などでなければ休みが取れないということもあるでしょうから、そうした場合は「旅行積立」は大いに利用する価値があると思います。先ほど予定が変わって旅行に行けなくなる場合の話をしましたが、お盆や正月のような時期であれば、病気にでもならない限り、予定を動かすことはないでしょうから、日程も読めます。

また、そういう時期は旅行会社にとっても書き入れ時ですから、提供するプランの種類も普段よりは多くなっている可能性があります。そういった事情を考えた場合、計画的に旅行をする場合には「旅行積立」の利用価値は大いにあると思います。ただ、会社によって条件や利用方法は異なるようですから、利用する前には各社の内容を比較した方が良いでしょう。

この数年間、なかなか旅行に行けなかった人が多かったと思いますが、さまざまな工夫をして旅行を楽しみたいところです。

大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト

大手証券会社に定年まで勤務した後、2012年に独立し、オフィス・リベルタスを設立し、代表に。資産運用やライフプランニング、行動経済学などに関する講演・研修・執筆活動などを行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社新書)など。