ジェネレーティブAIが急速に広まりつつある中、「学び」の形はどのように変わっていくのか。ベンチャーキャピタリストである伊藤穰一さんは「各々が伸ばしたい領域を学ぶ時間を増やすため、苦手、あるいは不要と考える領域はAIの助けを借りて時間短縮・効率化するという考え方もあります」という――。

※本稿は、伊藤穰一『AI DRIVEN AIで進化する人類の働き方』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

ジェネレーティブAIを用いて学ぶ

テクノロジーは、今までにも様々なかたちで社会を変えてきました。

テクノロジーが生んだ新しいツールが普及するたびに仕事が変わり、働き方が変わり、そして教育や子育て、学びそのもののかたちも変わってきた。今、急速に広まりつつあるジェネレーティブAIも、その延長線上にあります。

この新しいツールを得たことで、仕事は「ゼロから自分で生み出すもの」から「AIが出した答えを検討し、練り上げるもの」へと変わっていきます。

これと同様、「学び」のかたちも、「自分でゼロから学ぶもの」から「ジェネレーティブAIが提案したデータや知識を活用しながら、課題や問いに答えていくもの」へと変わっていくでしょう。

この部分については、異論はあると思います。

「知識は、自分でゼロから学んでこそ身につく」という考え方もあるでしょうし、僕自身、賛成できる部分もあります。ジェネレーティブAIを用いて学ぶか、用いずに学ぶかは「是非」の問題ではなく、「選択」の問題なのではないでしょうか。学ぶジャンル、学ぶ目的に応じて、個々が選択していけばいいと思います。

翻訳はChatGPTに任せればよい

長い間、英語環境で育った僕にとって、得意な言語は英語だといえます。そんな僕にとって、日本語で文書作成しなくてはいけないというときに、「漢字の予測変換」は欠かすことのできないツールですし、今はジェネレーティブAIにもかなり助けてもらっています。

チャットGPTなどのアプリのアイコン
写真=iStock.com/stockcam
※写真はイメージです

特に日本に戻ってきてからは、仕事相手のほとんどが、日常生活で英語を使う機会が少ない日本語ネイティブの方たちです。

そのため、皆がメッセージアプリなどで日本語を使って盛んにやりとりしているなかで自分の意見をいわなくてはいけないとか、きちんとした日本語でメールを送らなくてはいけない、などといった局面がたくさんあります。

そこで僕がどうしているかというと、「これを英語に直して」というプロンプトとともに日本語ネイティブのテキストのやりとりをChatGPTに入力します。あるいは、「これを日本語に直して」というオーダーとともに、考えたことを英語でChatGPTに入力します。すると、たちどころに英訳、和訳されたテキストが生成されます。

見ての通り、僕自身は、いっさい「翻訳」という作業をしていません。