勉強してもよく寝ても「3時間以上のスマホ」で台なし

榊浩平(著)、川島隆太(監修)『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新書)
榊浩平(著)、川島隆太(監修)『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新書)

ここからが問題です。私が最初にこのグラフを作って自分で見たときに、正直ゾッとしました。【図表4】がスマホ等使用「1~2時間」、【図表5】が「2~3時間」、【図表6】が「3時間以上」の子どもたちの成績をそれぞれ表しています。スマホ等の使用時間が長くなればなるほど、平均以上の成績を表す灰色の棒の数が明らかに減っていく様子が見てとれます。

衝撃的なのは「3時間以上」の結果です。灰色の棒が1本も残りませんでした。この結果からわかることは、スマホ等を1日3時間以上使用している子どもたちは、どれだけ勉強を頑張っていても、きちんと睡眠時間を確保していたとしても、成績が平均未満に沈んでしまっているということです。

つまり、スマホ等を長時間使用している子どもたちは、勉強時間や睡眠時間が削られてしまうから学力が低いという、私たちの最初の仮説は証明されませんでした。この結果から、スマホ等の使用は子どもたちの学力に直接的な悪影響を与えているという可能性が高まってきたのです。

榊 浩平(さかき・こうへい)
東北大学加齢医学研究所助教

1989年千葉県生まれ。2019年東北大学大学院医学系研究科修了。博士(医学)。認知機能、対人関係能力、精神衛生を向上させる脳科学的な教育法の開発を目指した研究を行なっている。共著に『最新脳科学でついに出た結論「本の読み方」で学力は決まる』(青春出版社)がある。

川島 隆太(かわしま・りゅうた)
東北大学加齢医学研究所教授

1959年千葉県生まれ。89年東北大学大学院医学研究科修了(医学博士)。脳の機能を調べる「脳機能イメージング研究」の第一人者。ニンテンドーDS用ソフト「脳トレ」シリーズの監修ほか、『スマホが学力を破壊する』(集英社新書)、『オンライン脳』(アスコム)など著書多数。