40代になり、J2ジュビロ磐田では若い選手たちに対し、プレーのみならず、メンタル面でのサポートをする場面も増えた遠藤保仁選手。このたび刊行したセブン‐イレブン限定書籍『シンプルに考える』を通して、遠藤さんは「悩める若者たちにぜひ伝えたいことがある」という──。(第2回/全2回)

※本稿は、遠藤保仁『シンプルに考える』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

地球の80億人、誰もがマイペース

「遠藤はマイペースだ」と、よく言われます。個人的には、マイペースと言われることはまったく気になりません。

僕と会ったことのない人にも「遠藤はマイペース」というイメージがあるようですが、メディアなどで質問に答えたときのコメントの一部が切り取られて流されて、そういう印象になったにすぎないと思っています。

もし、この本を読んでくれている人の中に、「マイペース」だと言われて悩んでいる人がいたとしたら、「まったく気にしなくていい」と伝えたいと思います。だって、他人に指示されたペースに従って生きている人なんて、どこにもいないでしょう。

それがどんなものであれ、結局は誰でも自分のペース(マイペース)で生きているんです(笑)。

ジャンプして蹴る男性
写真=iStock.com/Sushiman
※写真はイメージです

「考えなくていいこと」は考えない

自動車を運転するときのことを考えてみるといいのではないでしょうか。

たとえば僕の場合、制限速度が50キロで、ほかの車がまったく走っていなかったとしても、急いでいるとき以外は50キロまでスピードを出すことはありません。制限速度を守っているわけですから、それで誰にとがめられる理由もないという考えです。

片側3車線で渋滞しているときに無理に車線変更をする車もいますが、車線変更をすることもないですね。どの車線を走っても到着する時間には大差がない、というのが僕の考え方です。

実はこれには理由があります。運転をすることにできるだけ頭を使わないようにしたいからです。

「もっと急いで走りたいけれど、警察の取り締まりにあったらどうしよう」
「この車線はノロノロしているから、右の車線のほうが早そうだな」

そういうことはどれも、僕にとって「考えなくていいこと」なんです。

一方で、仮に1秒でも早く到着したいという人がいたなら、ルールを守っていれば何の問題もないと思います。それこそ、それがその人にとっての「マイペース」なのですから。