「優先エレベーター」を巡るネット上の争い
駅やデパートにある、優先エレベーター。
昔はなかったのに、いつの間にやら設置され今やどこでも見かけます。その必要性、重要性を誰もが均一に知る機会を取り逃したまま……。それゆえ、ネット上で要らぬ争いに発展することもあります。
国土交通省のサイトにある優先エレベーター啓発ポスターによると「エレベーター以外の移動が難しい方がいます。優先利用にご理解ください」とあります。
車椅子ユーザー、高齢者、妊婦、けがをしている人、障害のある人、乳幼児を連れた人、内部障害のある人、ベビーカーのピクトグラムとヘルプマーク、マタニティマークが描かれ、イラストにはスーツケースを持った人たちの姿もあります。
つまり階段とエスカレーターを物理的に使用することができない人、または、危険なので使用すべきではない人、使用しないほうがいい人、が優先されるエレベーターということです。
しかしこれを巡ってネット上ではしばしば争いが起きます。
車椅子ユーザーやベビーカー利用者が乗ろうとしても「満員で乗ることができず、誰も譲ってくれないため、何十分も待った」という話を当事者がSNSに書き込む。本来の利用の仕方を知ってほしいという意図で声を上げているのに、なぜかその当人が叩かれ炎上する。それらはもはやお決まりパターンのようになってしまっています。
私も3年前までベビーカー利用者で、優先エレベーターを使おうとしても乗れなかったことが何回もありました。
その経験から「優先エレベーターを譲る」という行為はかなり高度な技術を要することである、と感じていました。しかし譲り方の具体的な指示や講習は存在せず、ただエレベーターに「お譲りください」と書かれたシールが貼ってあるだけ。これでは多くの人が「優先エレベーターを譲る行為」ができないのは当たり前である、とここでは言い切りたいと思います。