具体と抽象、いろいろな角度から話す
自分が従事する専門職やはまっている趣味について、普通の人には理解できない専門用語ばかり並べて延々と語る人もいますが、これも聞き手には届きません。
自分以外の視点から話ができるようになると、聞き手の理解は大きく変わります。
伝えることがうまい人は、「具体と抽象」「実例と概念」「例え話」などをうまく取り入れています。
具体的なエピソードを入れながら、そこから抽象度を高めて普遍化して話してみたり、実例を伝えた上で、それを概念化してみたり。例え話を多く使い、聞き手が話の内容をイメージしやすくする配慮も忘れません。
いろいろな角度からメッセージを投げていると、そのうちのどれかが聞き手の分かりやすいポイントに刺さります。どんなポイントが聞き手にとっては受け入れやすいのかを知るためにも、話し手はなるべく多く、いろいろな角度からメッセージを送ってみるべきです。
話をする中で、抽象的な話が多いなと思ったときは具体的な話を、実例ばかり並べているときは、まとめるとどういう概念なのかを意識しながら、盛り込んでいきましょう。例え話を入れるなら、どんなエピソードだと響くのかを考えるのも大切です。
具体と抽象の比率を意識してみる
もちろん、最初から完璧に「具体と抽象」「実例と概念」「例え話」が入れられる人は少ないと思います。
しかし、自分が話している中で、具体と抽象のどちらの比率が多いのか、また例え話ゼロで伝えようとしていないかを意識するだけでも、話す内容は変わってきます。
あなたの話は幅が広がり、聞き手の理解が早くなり、もっと早く、深く、あなたの話を理解してもらえるようになるはずです。
Voicyのパーソナリティの中でも、特にこのスキルに秀でるのが、ジャーナリストの佐々木俊尚さんです。佐々木さんは、ご自身のTwitter(アカウントは@sasakitoshinao)で毎朝、日々のニュースをピックアップし、解説をしています。
それと連動して毎日のニュースを深掘りするVoicy番組「毎朝の思考」では、うまく「具体と抽象」をちりばめることで、少し難解なニュースも分かりやすくリスナーに伝えています。「具体と抽象」「実例と概念」「例え話」の観点から聞いてもとても勉強になるので、試しに聞いてみてください。
ビジネスデザイナー、公認会計士。大阪大学基礎工学部卒業後、同大学経済学部も卒業。2006年に新日本監査法人に入社し、その後Ernst & YoungNew York、トーマツベンチャーサポートを経て起業。2015年医療ゲノム検査事業のテーラーメッド株式会社を創業、2018年業界最大手上場企業に事業売却。2016年音声プラットフォームVoicyを開発運営する株式会社Voicyを創業。同時にスタートアップ支援の株式会社Delight Design創業。新しい価値をビジネスで設計するビジネスデザイナーとして10社以上のベンチャー企業の顧問や役員にも就任し、事業戦略、資本政策、サービス設計、PRブランディング、オープンイノベーション設計、その他社長のメンターやネットワーク構築を行う。著書に『ボイステック革命 GAFAも狙う新市場争奪戦』(日本経済新聞出版)