「リバースモーゲージ」「リースバック」という選択肢

物件価格や手持ち資金などによっては、一般的な住宅ローンを組むことが必ずしも最適な選択とはいかないこともあるだろう。そんなときに、「リバースモーゲージ」や「リバースモーゲージ型住宅ローン」「リースバック」という選択肢がある。

「リバースモーゲージ」とは、自宅(所有不動産)を担保に入れて生活資金を借りる融資の仕組みをいう。また、新たに買う新居を担保に入れて、毎月の返済は利息だけ、亡くなったときに不動産を処分して借入金を返済する「リバースモーゲージ型住宅ローン」もある。「亡くなったときに」と聞くと切ないが、相続問題とは無縁になるメリットもある。

一方、「リースバック」とは、自宅の所有者(売主)がリースバック事業者(買主)に自宅を売却する→買主は買い取り代金を売主に一括払いし、売主は自宅の所有権を買主に移転する→買主を貸主、売主を借主とした賃貸借契約を締結する、という仕組みだ。

売主はまとまった資金を得ることができ、かつ、そのまま住み続けられる。また、物件を自分で所有していないため、管理費等や固定資産税などの維持費が不要になる。引っ越しの手間暇もなければ、近隣に売却した事実を知られることも回避できるだろう。

なお、リバースモーゲージは、「60歳以上」や「70歳以上」などというように一定の年齢以上でなければ利用することはできないが、リースバックの利用に年齢制限はない。

リバースモーゲージとリースバックの注意点

ただし、リバースモーゲージは長生きすればするほど、最初に設定された融資限度額まで資金を使ってしまうリスクがある。

リースバックも、いざというときに配偶者や子どもなどに資産を残すことができない。また、売却価格は相場より低くなる傾向があり、毎月の賃料は相場より高くなる傾向にある。更新時に賃貸借契約を断られてしまうこともあるだろう。

リースバックは、持ち家比率の高いシニア世代で取扱件数が増加している。しかし、売却と賃貸借契約が同時に発生する煩雑さから、理解不足によるトラブルも起こっている。

利用する場合は、事業者の説明をよく聞き仕組みを理解すること、専門家などに相談して長期的な計画を立てることをおすすめしたい。