自分は何を嫌がっていたのか
メンテナンスを頼めばいいのでは? 社交的な人はそう思うだろう。しかし私は極力人と会わない暮らしを実践している人間だ。
動物はいい。
しかし、知らない人はダメだ。
普段、家のなかに閉じこもって暮らしていると、エアコンのメンテナンス・修理を頼むということは、大きな決断となる。家のなかに知らない人を、少なくとも1時間以上迎え入れる。部屋の掃除をしなくてはいけないし、仕事も中断しなければならない。人と会うストレスも大変なものだ。
しかし背に腹は代えられず、渋々修理を依頼し、メンテナンスの男性がわが家にやってきた。
60代ぐらいの方だっただろうか、とても静かにやってきて、エアコンや室外機のチェックを素早く終え、部品を一部取り替え、あっという間に修理を完了させると、内容説明をしたうえで、去っていった。
感動する手際だ。自分は一体何を嫌がっていたのだろうと思わずにはいられなかった。プロとは、このように短時間で結果を出す人なのだと感動し、彼が残したアンケートハガキに記入し(満点評価)、そしてポストに投函した。
悩む数時間は浪費、アウトソースの方が経済的
何を言いたいのかというと、悩む時間を過ごすよりも、プロに即座にアウトソースしたほうがよっぽど経済的だということ。悩んだ数時間は、誰の人生にとっても二度と戻らない時間なのだ。
年末になると一斉に大そうじの圧が迫ってくる。今年の汚れは今年のうちになどと言われるが、そんなのよけいなお世話である。それでも年末年始はさわやかな気持ちで過ごしたいから、私は「小そうじ」を適当にやって、あとはピザやカニの注文に全力を注ぐことにしている。今年と来年の間に境界線があるわけでもあるまいし、今年の汚れも来年の汚れもまるごと愛していこう。
1970年静岡県生まれ。琵琶湖のほとりで、夫、双子の息子、愛犬ハリーとともに暮らす。著書に『兄の終い』、『全員悪人』、『家族』、『犬ニモマケズ』、『本を読んだら散歩に行こう』など。訳書に『家がぐちゃぐちゃでいつも余裕がないあなたでも片づく方法』(KC デイビス著)、『エデュケーション』(タラ・ウェストーバー著)、『ゼロからトースターを作ってみた結果』(トーマス・トウェイツ著)、『黄金州の殺人鬼』(ミシェル・マクナマラ著)ほか多数。