高齢の親が家にため込んだ不用品を片づけるにはどうすればいいか。お片づけ習慣化コンサルタントの西崎彩智さんは「捨てようね、というアプローチはお勧めしません。反対に、『何を残そうか』と声をかけてみてください」という――。
買いだめしている大量のトイレットペーパー
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片づけられない人は不安感が強い

前回は実家の片づけについて、お話ししました。実家の片づけに悩む方には「自分も片づけられないけれど、親もとんでもない。大量に物をため込んで片づけが進まない」と話す人が多いですね。

実際、目白大学の研究(※)でも、親の片づける姿勢は子どもに大きく影響を及ぼすことがわかっています。つまり片づけられない親の子どもは、高確率で片づけられない。育った環境がそうさせているということです。

※目白大学心理学研究第14号「大学生の片づけ行動に及ぼす両親の影響―片づけ要求と片づけ態度からの検討―」(2018.3)

ただ今の70~80代、戦中戦後生まれの親は、物がない時代に育ったので、物をたくさん持つことが豊かであるという価値観で生きてきた人が多い。そういう人が年をとると、物がなくなることに対する不安感が非常に強くなるのです。

12ロール入りのトイレットペーパーが10個…

私自身の話をすると、両親ともに施設に入り、空き家になった実家を片づけていたら、12ロール入りのトイレットペーパーが10個以上出てきました。

実家は2階建ての7LDK。ウォークインクローゼット、物置、倉庫のある家に、2人で暮らしていました。

田舎なので、いちばん近いコンビニエンスストアに行くにも車で5分かかる。スーパーにも車でしか行けないので、ないと困るし、あっても邪魔にならないということで、トイレットペーパーの買い置きが山ほど出てきたわけです。

そのほか、ボックスティッシュやラップ、ビニール袋などのストックも大量に出てきました。

買いだめする親の根底にあるのは、体の調子が悪くなったら買いに行けないから、今のうちに買っておかなきゃという不安感です。片づけられない人は、やはり不安感が強いのです。

結局、トイレットペーパーやボックスティッシュなどかさばるものは、近所の人に配りました。ラップなどは持って帰って、最近ようやく使い切りました。