ほめる言葉

▶︎壮健

男性をほめる際に使われる言葉。「壮」という字には「勢いが盛ん、元気、勇ましい、大きい」といった意味があり、「壮健」は「健康で丈夫なこと」を指す。「お父さまもご壮健とのこと、何よりです」などと用いる。類義語に「健康」「達者」「健勝」がある。

▶︎眼福、口福、耳福

「眼福」とは、ほかではめったに見られないものを目にして幸福感を味わうこと。「鮮やかな紅葉に眼福を得る」などと使う。同様に「口福」「耳福」も口にしたり、耳にしたりするものに対して用いられる言葉で、「秋の夜長に響く虫の声に耳福を得る」などと使う。

▶︎正鵠せいこくを射る

「正鵠」とは弓の的の中央にある黒星。転じて「物事の急所、要点」という意味をもち、急所をぴったりつかんだことを強調したいとき、「正鵠を射たご意見です」などと用いる。「正鵠を得る」と言うことも。類義語に「核心を突く」がある。

なぐさめる言葉

▶︎いかばかり

言い表せないほどの感情を体験した人に対して用い、「どれほど、どんなにか」と同様に使える。漢字では「如何ばかり」と表すが、「如何」は相手の心情や状態を尋ねるという意味をもつ。「こんなに急にお母さまを亡くされるとは、ご心痛はいかばかりでしょう」などと用いる。

▶︎胸中

心に思っていることを表す言葉で、悲しんでいる人を思いやる場合に使う。「胸中お察し申し上げます」などと用いる。また、「胸中を打ち明ける」など、自分が主体となる場合に使うこともできる。類義語に「心中」「お気持ち」「底意」がある。

※金田一秀穂監修『手紙に使える 会話に役立つ 美しい日本語が身につく本』(高橋書店)より引用。

金田一 秀穂(きんだいち・ひでほ)
杏林大学外国語学部名誉教授

山梨県立図書館館長。1983年東京外国語大学大学院修了後、イェール大学日本語教師、ハーバード大学客員研究員、杏林大学外国語学部教授などを経て現職。日本語の専門家としてテレビやラジオなど幅広いメディアに出演中。『金田一先生のことば学入門』(中公文庫)など著書多数。