老化の原因になる活性酸素

「また女性の感想として、化粧のノリがよくなった、若く見られるようになった、髪の毛がふさふさになった、との声もありました。

いずれも背景にあるのは老化ですが、これもいちばんの原因は活性酸素です。皮膚の場合は紫外線が細胞の酸素にあたって活性酸素になり、メラニンの合成を誘導してシミや斑点ができるのです。体内には活性酸素を中和する酵素もあるのですが、年をとってくると活性酸素を中和する力が弱くなってしまうのですね。

この活性酸素を強力に消去するのが、カロテノイドという抗酸化物質です。

カロテノイドは黄色または赤色の色素で、水に溶けにくく油に溶けます。いくつか種類があって、ルテインはほうれんそう、小松菜、よもぎ、ケール、モロヘイヤに多く、ベータカロテンはにんじん、かぼちゃに、リコペンはトマトなどに多く含まれていますね」

緑の濃い野菜は老化やがんを予防する

「コレステロール値や血糖値が下がったとか、血圧が下がったという報告もあります。血圧が下がるのは、いくつかメカニズムがあって、一つは野菜に含まれるカリウムを多く摂るからですね。カリウムはナトリウムと拮抗しますから、それだけでも減塩効果となり、血圧は下がります。

血管を広げて血圧を下げるように働くのは一酸化窒素(NO)ですが、活性酸素があるとNOを消去するので血管がきゅっと縮まり、圧縮されて血圧が上がるのです。抗酸化物質があると、逆に活性酸素が消去されてNOの寿命が長くなるので、結果的に血圧が下がります。

奥野修司『野菜は「生」で食べてはいけない』(講談社)
奥野修司『野菜は「生」で食べてはいけない』(講談社)

ご飯を食べると、でんぷんがブドウ糖に変わり、それが血中に入って血糖値が上がります。ところが、食べた多糖類が腸管の中でレセプター(受容体)にくっつくと、ブドウ糖などが入ってきてもそれをブロックするので、血糖値は緩やかな上昇になります。多糖類も吸収されるのですが、分解されるまで時間がかかるのです。

つまり、ゆっくり吸収されるので、結果的に血糖値も下がり、さらにヘモグロビン値HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー=糖尿病の指標の一つ)も下がります」

「老化を遅らせるには細胞の修復が重要ですが、これに必要なのは葉酸です。葉酸は緑の濃い葉野菜などに多く含まれています。

がん細胞が、がんになる前の“前がん状態”から本物のがんに移行するのを抑えるのも緑黄色野菜で、特に濃い野菜ほどよいのです。しそや、よもぎにはたくさん含まれています」

奥野 修司(おくの・しゅうじ)
ノンフィクション作家

1948年大阪府生まれ。『ナツコ 沖縄密貿易の女王』(文春文庫)で講談社ノンフィクション賞と大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。著書に『ねじれた絆』(新潮社、後に文春文庫)、『心にナイフをしのばせて』(文春文庫)、『魂でもいいから、そばにいて 3.11後の霊体験を聞く』(新潮社)、『天皇の憂鬱』(新潮新書)、共著に『怖い中国食品、不気味なアメリカ食品』(講談社文庫)、などがある。